パルスサーベイは意味ないと言われる4つの理由|続く運用に変えるための3つの条件
「毎月やっていますけど、正直あまり意味がないですね」。パルスサーベイを導入した会社の現場担当者から、こう言われることがあります。人事は続けたいと思っているのに、答える側は形だけになっている状態です。
意味がないという評価は、多くの場合そのとおりです。ただし調査手法そのものに欠陥があるわけではありません。答えても何も起きない構造が先にでき、その結果として回答が形だけになっています。
つまり、設問を工夫しても順番が違います。先に直すのは、回答が集まった後に何が起きるかのほうです。
この記事では、意味がないと言われる4つの理由をそれぞれ分解したうえで、続く運用に変えるための3つの条件を整理します。
最後に、いま止まっている運用のどこに原因があるかを切り分けるチェックリストを載せました。4つの理由のどれに当たるかが分かれば、直す順番が決まります。
パルスサーベイが意味ないと言われる4つの理由
意味ないという評価は、どこから生じているのか。現場から出てくる不満は、突き詰めると次の4つに分かれます。原因の層が違うため、対処も変わります。
理由1 毎回同じ設問でマンネリ化する
比較のために設問を固定すると、回答者は同じ質問に何度も答えることになります。3か月を過ぎたあたりから、内容を読まずに真ん中を選ぶ回答が増えます。
これは回答者の怠慢ではありません。同じ設問に毎月違う答えを出せるほど、組織の状態は短期間で動かないというのが実態。頻度と設問の設計が、組織の変化の速さと合っていません。
理由2 結果が打ち手につながらない
集まった数値を見て、何をすればよいか決まらない状態。設問が5問しかないため、低い数字が出ても原因が分かりません。
パルスサーベイは変化の検知に向き、原因の特定には向きません。にもかかわらず原因まで求めると、当然ながら答えが出ません。役割の誤解から生まれる不満です。
理由3 主観に頼るため根拠として弱い
「働きがいを感じるか」といった設問は、その日の気分や直近の出来事に影響されます。同じ人でも週によって答えが変わります。
ただし、これは欠点であると同時に目的でもあります。主観の変化を早く捉えることが狙いだからです。問題は、主観の数値を客観的な事実のように扱ってしまう運用のほうにあります。
理由4 回答率が落ちて代表性を失う
回答率が3割を切ると、答えているのは組織に関心の高い人か、強い不満を持つ人に偏ります。中間層の声が消えるため、実態とずれた結果になります。
回答率の低下は結果ではなく原因の指標。下がっている時点で、理由1から3のどれかがすでに起きています。
4つの理由は2つの層に分かれる
ここまでの4つを並べてみると、性質の違う2層に分かれます。ここを混ぜたまま対策すると、効かない手を打つことになります。
| 層 | 該当する理由 | 何の問題か | 直す場所 |
|---|---|---|---|
| 設計の層 | 理由1 マンネリ化 理由3 主観への依存 |
頻度・設問・使い方が、組織の変化の速さと合っていない | 頻度と設問数、結果の読み方 |
| 運用の層 | 理由2 打ち手につながらない 理由4 回答率の低下 |
集まった後に何が起きるかが決まっていない | 見る人と時間、従業員への返し方 |
設問を作り直す会社は多いのですが、実際に効くのは運用の層です。回答しても何も起きない状態が続く限り、設問をどう変えても回答は形だけになります。
パルスサーベイを続く運用に変える3つの条件
2つの層に対して、条件は3つ。上から順に効きます。
- 回答後に何が起きるかを見せる … 次の配信時に、前回の結果と、それを受けて何をしたかを1行添えます。変えなかった場合も、変えなかった理由を書きます。返さないことだけを避けます。
- 原因の特定はパルスに求めない … 数値が下がった項目については、面談や少人数の対話で理由を聞きます。パルスは「どこで何が変わったか」を教える役に留め、「なぜか」は別の手段で取ります。
- 頻度を組織の変化の速さに合わせる … 安定期に週1回で聞いても同じ答えが並びます。制度変更や組織再編の直後は月1回、落ち着いたら四半期に1回まで下げます。頻度を下げることは後退ではありません。
3つのうち最も効くのは1。回答が使われている実感があれば、多少のマンネリ化は許容されます。逆に1がないまま設問だけ工夫しても、回答率は戻りません。
サーベイ全体で結果が使われずに終わる構造については、エンゲージメントサーベイが意味ないと言われる理由でも扱っています。
いまの運用のどこが原因かを切り分けるチェックリスト
止まっている運用を直すとき、まず原因を1つに絞ります。次の順で確認してください。
- 前回の結果を、従業員に何らかの形で返しているか
- 結果を見る人と時間が、カレンダーに入っているか
- 固定する設問と入れ替える設問を分けているか
- 頻度が、直近の組織の変化の速さに合っているか
- 数値が下がったとき、理由を聞く別の手段があるか
- 回答率が5割を下回ったときに何をするかを決めているか
上から順に確認し、最初に「いいえ」が出た項目が原因。複数を同時に直すと、何が効いたか分からなくなります。
1つ目でつまずく会社が最も多くなります。返す作業は手間がかかるうえ、返さなくても運用は回ってしまうためです。しかし従業員から見れば、返ってこないことが答えなくなる直接の理由になります。
パルスサーベイは設問より返し方から直す
意味がないという評価の多くは、調査手法ではなく運用に向けられています。答えても何も起きない状態が続けば、どの手法でも同じ結果になります。
直す順番は、返し方、次に見る人と時間、最後に設問と頻度。設問の作り直しから入ると、いちばん時間がかかって効果が小さい手から始めることになります。
頻度や設問数の決め方については、パルスサーベイとはで運用の設計から整理しています。
なお、止まっている運用の立て直しは、リデザインワークのサーベイ活用支援でも無料でご相談を承っています。






