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従業員エンゲージメントとは|満足度との違い・ワークエンゲージメントとの混同・高める順番を解説

「エンゲージメントを上げよう」と経営会議で決まったものの、次の会議までに出てきたのは懇親会の予算案だった。人事の方から、この種の話を聞くことがあります。

言葉の定義が共有されていないと、打ち手は各自の解釈で出てきます。仲の良さだと理解した人は交流施策を、待遇の話だと理解した人は手当の新設を提案します。どちらもエンゲージメントの一部ではありますが、自社で効いている要因かどうかは別の問題です。

さらに紛らわしいのが、似た言葉が複数あることです。従業員満足度、モチベーション、ロイヤルティ、そしてワークエンゲージメント。学術的には測っているものが違いますが、実務では同じ意味で使われています。

この記事では、従業員エンゲージメントの定義と、混同されやすい4つの言葉との違い、代表的な2つの尺度、そして測ったあとに手をつける順番を整理します。

最後に、自社のエンゲージメントの現在地を言語化するプロンプトを載せました。サーベイの結果や現場の声を貼り付ければ、どの要因が効いているかの仮説まで出るので、施策を決める前の材料としてお使いください。

従業員エンゲージメントとは組織に自発的に貢献したい状態

従業員エンゲージメントとは、従業員が組織の目指す方向に共感し、自発的に貢献したいと感じている状態を指します。会社と従業員の関係の質を表す言葉で、一方向の忠誠心ではなく、双方向の結びつきとして捉えます。

注目されるようになった背景には、2つの変化があります。ひとつは労働人口の減少で、採用で補う前提が成り立たなくなったことです。もうひとつは転職が一般化し、勤続そのものが目的にならなくなったことです。

つまり、在籍していることと、力を発揮していることが別のものになりました。在籍者数では測れない部分を見るために、エンゲージメントという指標が使われるようになったと理解すると分かりやすくなります。

従業員エンゲージメントと満足度は測るものが違う

混同されやすい4つの言葉を並べます。どれも組織の状態を表しますが、対象が違います。

用語 測っているもの 高いと何が起きるか
従業員エンゲージメント 組織への共感と、貢献したい意欲 自発的な行動が増える
従業員満足度 待遇や環境への満足の度合い 不満による離職が減る
モチベーション 個人が行動を起こす動機の強さ 短期の行動量が増える
従業員ロイヤルティ 組織への忠誠心と帰属意識 勤続年数が伸びる

要点は、満足度が高くても貢献意欲が高いとは限らないことです。待遇がよく残業も少ない職場で、業務には最低限しか関わらない。この状態は満足度が高く、エンゲージメントが低い例になります。

したがって、満足度調査だけを続けている会社は、不満の解消は進んでも、自発的な行動の量は変わらないことがあります。

ワークエンゲージメントとの違いは対象が組織か仕事か

もう1つ、実務でよく混ざるのがワークエンゲージメントです。こちらは学術的に定義された概念で、対象が異なります。

ワークエンゲージメントは、オランダのユトレヒト大学のシャウフェリらが提唱したもので、仕事に対して活力・熱意・没頭の3つが満たされている状態を指します。測定にはユトレヒト・ワーク・エンゲイジメント尺度(UWES)が用いられ、日本語版も整備されています。

対して従業員エンゲージメントは、仕事そのものではなく組織との関係を対象にします。仕事は面白いが会社の方針には共感していない、という状態が成り立つため、両者は別々に動きます。

もう1つの代表的な尺度が、ギャラップ社のQ12です。「自分が何を期待されているかを知っている」「この1年で成長について話し合う機会があった」といった12の設問で構成され、上司との関係や役割の明確さを含む点が特徴です。

自社で使う尺度を選ぶときは、仕事への熱中を見たいのか、組織との関係を見たいのかを先に決めます。両方を1つの調査に混ぜると、結果が出たときにどちらの問題か判別できなくなります。

従業員エンゲージメントが低いと起きること

低い状態が続くと、次の順で表面化します。目に見えるようになるのは最後で、そこから手を打つと回復に時間がかかります。

  1. 自発的な行動が減る … 指示された範囲は行うが、改善の提案や部門をまたぐ協力がなくなります。数字には出ないため気づかれません。
  2. 情報が上がらなくなる … 問題を見つけても報告の優先度が下がります。トラブルの発見が遅れます。
  3. 中核人材から辞める … 転職市場で評価される人ほど先に動きます。採用は続けているのに現場が回らない状態になります。

1と2の段階は離職率に表れないため、数字を見ている限り異常が検知できません。サーベイを使う理由の1つは、この見えない段階を捉えることにあります。

サーベイでどのように組織の状態を捉えるかは、エンゲージメントサーベイとはで目的と進め方から整理しています。

現場が動き出す組織課題の見つけ方
お役立ち資料|エンゲージメントサーベイ

現場が動き出す組織課題の見つけ方

スコアの低い項目に施策を当てても、翌年の数字は動かない。個人の感じ方を扱っていて、そう感じさせている構造に触れていないからです。人事が現場を動かすために必ず押さえるべき、組織課題の立て方を支援事例とあわせて解説します。

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従業員エンゲージメントはスコアを上げようとすると下がる

測定を始めると、次に起きるのはスコアを目標値にすることです。部門ごとの点数が並び、低い部門の管理職が説明を求められます。

ここで何が起きるかというと、点数を上げる工夫が始まります。回答前に「みんなで良くしていこう」と声をかける、低い点をつけにくい空気を作る。悪意がなくても、評価される側は評価に適応します。

その結果、点数は上がり、実態との差だけが広がります。そして翌年、実態に合わない施策が打たれることになります。

避けるには、点数そのものを目標に置かないことです。見るのは、総合的な状態に効いている要因がどれかという点です。同じ点数でも、効いている要因が上司との関係にある会社と、役割の不明確さにある会社では、打つ手がまったく違います。

点数を追う運用が組織にどう作用するかは、エンゲージメントサーベイの分析方法とはでも詳しく扱っています。

従業員エンゲージメントを高める3つの順番

打ち手は施策の一覧から選ぶのではなく、次の順番で絞ります。

  1. 効いている要因を特定する … 総合的な状態と各設問の関係を見て、影響の大きい項目を数個に絞ります。ここを飛ばすと、他社で効いた施策を持ってくることになります。
  2. 1つの部門で試す … 全社で始めると、効果があったかどうかが分かりません。特定した要因が強く出ている部門を1つ選び、そこで先に手を打ちます。
  3. 同じ設問で再測定する … 3か月から6か月後に、同じ設問で変化を見ます。設問を変えると比較できなくなるため、この期間は設問を固定します。

この3つのうち、1が最も省略されます。結果が出た直後は施策を決める圧力が高く、分析に時間をかけにくいためです。ところが、ここを飛ばした施策は効果検証もできません。

具体的な施策の選択肢は、従業員エンゲージメント向上の施策12選にまとめています。

自社のエンゲージメントの現在地を言語化するプロンプト

要因の特定は、手元にある材料からでも始められます。次のプロンプトを使ってください。

あなたは組織開発の専門家です。
以下は当社の従業員エンゲージメントに関する材料です。

【材料】
(サーベイの設問別スコア・自由記述・離職者の面談メモなどを貼り付け)

次の手順で整理してください。

1. 材料から読み取れる組織の状態を、次の4つの観点で
   それぞれ2行以内で書いてください。
   ・組織の方向への共感
   ・役割の明確さ
   ・上司との関係
   ・成長の実感

2. 4つのうち、他と比べて弱い観点を1つから2つ挙げ、
   そう判断した根拠を材料から引用してください。

3. 弱い観点について、原因の仮説を3つ挙げてください。
   仮説は「制度の問題」「運用の問題」「関係性の問題」の
   いずれに当たるかを明記してください。

4. 仮説を確かめるために、次に集めるべき材料を挙げてください。
   施策の提案はまだ不要です。

4番目で施策を出させない点が要点です。原因が確からしくない段階で施策を出すと、それらしい一覧が手に入ってしまい、検証の工程が飛ばされます。

従業員エンゲージメントは言葉の定義をそろえてから測る

従業員エンゲージメントは、満足度でもモチベーションでもロイヤルティでもありません。組織の方向への共感と、自発的に貢献したい意欲を指します。

この定義を関係者でそろえないまま測ると、結果を見たときの解釈が分かれ、打ち手も分散します。測定の設計より前に、何を見たいのかを言葉にしておくことが、実は最も効きます。

すでに測っていて施策が決まらない場合は、点数の一覧ではなく、効いている要因の特定から戻ると、議論の焦点が定まります。

なお、サーベイの結果から要因を特定する進め方は、リデザインワークのサーベイ活用支援でも無料でご相談を承っています。

リデザインワーク 編集部

リデザインワークは、仕組みを変え、行動を変え、企業成長と多様な個人の活躍が同時実現できる企業づくりを、HRコンサルタントとAIプロダクトで支援する会社です。経営戦略と一貫した人事戦略を描くだけでなく、それが現場に定着し行動が変わるまで伴走する中で得た知見やノウハウを発信しています。

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