お問い合わせ
サービス紹介 HRコンサルティング AX推進支援コンサルティング AIプロダクト 支援事例 お役立ち資料 コラム記事 セミナー情報 お問い合わせ
catch-img

生成AI活用の内製化|DX/AXコンサル外注を卒業し、社内で回す設計とは

「毎回ベンダーに頼んでいたら、費用も時間もかかりすぎる」。役員からそう言われて、内製化の検討が始まる。よくある入り口です。

ところが半年後、社内で作れるようになった会社と、結局また外注に戻った会社に分かれます。分かれ目は開発スキルの有無ではありません。

内製化のゴールを、作れる状態に置いたか、回り続ける状態に置いたかの違いです。作れる人が1人いれば、最初のツールは動きます。その人が異動した翌月に止まるなら、内製化したことにはなりません。

この記事では、生成AIの内製化を回り続ける状態から定義し直したうえで、内製化が目的になると起きる3つの失敗、内製と外注を分ける3つの軸、実際に必要になるスキル、そして90日計画の組み方までを扱います。

記事の後半には、自社の業務一覧から内製に向くものと外に置き続けるものを仕分けさせるプロンプトを載せました。着手する範囲を決める材料としてお使いください。

生成AIの内製化とは社内で回し続けられる状態を作ること

言葉の定義から確認します。

生成AIの内製化とは、業務に組み込むAIの設計・構築・改修を、外部の支援なしに社内で続けられる状態を作ることです。一度作れることではなく、作り直せることが条件になります。

生成AIは前提が変わり続けます。モデルが更新され、業務が変わり、法令が変わる。作った時点の仕様のまま置いておくと、半年で使われなくなります。改修が社内でできない状態は、内製化とは呼べません。

リデザインワークのAX支援でも、支援の終わり方を先に決めます。どの状態になったら我々が抜けるのかを最初に合意しておかないと、支援が続くこと自体が前提になってしまうためです。

生成AIの内製化が目的になると起きる3つの失敗

内製化そのものを目標に置くと、途中で方向がずれます。よく見かける失敗は三つです。

一つ目は、全部を内製しようとすることです。外注費を減らすという入り口から入ると、削減額が指標になり、外に出している範囲をすべて取り込む話になります。ところが専門性が高く頻度の低い領域まで抱えると、社内の学習コストが回収できません。

二つ目は、作れる人を1人だけ育てることです。動くものが早く出るので成功に見えますが、その1人に依存した状態は外注していたときと構造が同じです。頼む相手が社外から社内に変わっただけで、本人が抜けたら止まります。

三つ目は、浮いた工数の行き先を決めないことです。内製化で月40時間が浮いたとして、その時間が何に使われたかを説明できなければ、次の投資は承認されません。削減額だけを報告すると、成果が見えないまま予算が細ります。

この三つに共通しているのは、内製化を手段ではなく目的として扱っていることです。目的は、事業に必要な変更を必要な速さで加えられる状態を持つことにあります。そこから逆算すると、内製する範囲も育てる人数も自然に決まります。

内製と外注の線引きは3つの軸で決める

では、どこまでを社内に取り込むのか。判断は3つの軸で行います。

内製に向く 外に置き続ける
変更の頻度 業務の変化に合わせて頻繁に直す 一度作れば数年変えない
業務知識の所在 社内にしか判断基準がない 一般的な技術で完結する
使う頻度 毎週から毎日使う 年に数回しか動かさない

3つのうち2つ以上が内製側に振れるものから着手します。変更頻度が高く、判断基準が社内にしかない業務は、外注すると仕様の伝達だけで工数が消えます。

逆に、基盤の構築やセキュリティの設計は外に置き続けるほうが安全です。専門性が高く、失敗したときの影響が大きく、頻繁に触らない領域だからです。

内製化の議論で削るべきは、外注の総額ではなく、伝達にかかっている工数です。毎回仕様を説明し、認識を合わせ、テストして戻す往復に何時間かかっているかを数えると、内製すべき範囲が見えてきます。

全社AX戦略を人事から描く時の6つの観点
お役立ち資料|AX(AI活用)推進

全社AX戦略を人事から描く時の6つの観点

ツールは増えたのに、会社全体の生産性は変わらない。AIを配ることと、仕事の設計を変えることは別だからです。全社のAX戦略を任された人事が最初に押さえるべき6つの観点を、立案フレームワークまで含めて解説します。

資料をダウンロード

生成AIの内製化に必要なのは開発スキルではない

内製化の相談で最初に出てくるのは「エンジニアを採用すべきか」という問いです。しかし実際に詰まるのは、そこではありません。

生成AIを業務に組み込むとき、必要になる力は3つあります。

業務プロセス分解スキル 業務を工程に分けて捉える力。ひとまとまりに見える仕事を、何を受け取り・どう処理し・何を出すのかに分け、どこまでをAIに任せるかを決められる状態にします。

暗黙知の言語化スキル 無意識にやっている判断を言葉にする力。熟練者が「見れば分かる」と言う判定を、条件と例外の形に書き出します。

検証設計スキル 出力が使える品質かを判定する基準を作る力。何をもって正解とするか、どの範囲までは人が確認するかを事前に決めます。

この3つはいずれも、業務を知っている人にしか持てません。外部から採用した技術者が身につけるには時間がかかります。逆に、業務を知っている担当者がこの3つを身につけるほうが速い。

内製化の体制を組むとき、技術者を採用するより先に、業務側の担当者にこの3つを経験させる設計を置いてください。とくに二つ目の暗黙知の言語化は、業務に習熟しているほど難しくなります。手順が習慣になっていて、なぜそうするのかを意識せずに処理できてしまうためです。

業務の分け方そのものは業務の棚卸しから始めるAXで、任せる範囲の決め方は人事のAI活用はどこまで任せるかで扱っています。

生成AIの内製化は90日計画で組む

内製化は、年単位の計画にすると途中で止まります。90日計画(90days plan)として、30日ごとの3ブロックで組みます。

縦軸は、同時に進める仕事の種類です。1本の線表にすると、作ることだけが進んで権限や評価が追いつかない状態になります。

1〜30日目 31〜60日目 61〜90日目
業務設計 対象業務を3つに絞り、工程に分解する 1業務を作り込み、人が確認する範囲を確定する 残り2業務へ横展開する
環境とルール 使える環境と扱えるデータの範囲を確定する 対象業務の範囲で必要なルールを作る 次の範囲に向けてルールを更新する
体制と人 業務側の担当者を2名決める 2名が自分で改修できる状態にする 3人目に引き継ぐ演習をする
効果測定 現状の工数を実測する 浮いた工数を測る 浮いた工数の行き先を決める

ブロックの切れ目に判断を置きます。30日目に対象業務の確定、60日目に本番運用の可否、90日目に横展開の可否。この3つの判断日を、計画を立てた時点でカレンダーに入れてください。

体制の行で2名としているのは、1人だと属人化し、3人以上だと最初の90日では回らないためです。3人目への引き継ぎを90日目に演習として入れておくと、依存が固定されません。

生成AIの内製化にかかる費用の見方

費用は、外注費との比較だけで見ると判断を誤ります。内製化で発生するのは主に3種類です。

  1. 環境の費用。生成AIの利用料と、業務に組み込むための基盤。月額で発生し続けます。
  2. 人の時間。業務側の担当者が設計と検証に使う時間。最初の90日はここが最大の費用です。
  3. 立ち上げの支援費用。型を作るまでの外部支援。継続ではなく期間を区切った費用として扱います。

見落とされやすいのは2番です。担当者の時間は既存の人件費の中にあるため、費用として計上されません。しかしその時間は本来の業務から引かれているので、実質的な投資です。

3番については、期間と終わり方を契約の時点で決めてください。支援が続くほど社内に力が残らない構造になるため、いつ抜けるかを先に握るのが安全です。

費用の相場感そのものはDXコンサルの費用相場、支援会社の見分け方はDXコンサルの選び方で扱っています。

内製に向く業務を仕分けるプロンプト

着手する範囲を決めるとき、業務一覧を眺めるだけでは手が止まります。3つの軸をAIに当てさせると、議論の出発点ができます。

あなたは業務設計の専門家です。以下は当社の業務一覧です。

1. 各業務を次の3つの軸で判定してください。
   ・変更の頻度(業務の変化に合わせて頻繁に直すか)
   ・業務知識の所在(社内にしか判断基準がないか)
   ・使う頻度(毎週以上使うか)
2. 3つのうち2つ以上が該当する業務を、社内で作り込む候補として挙げてください。
3. 逆に、外部に任せ続けたほうがよい業務と、その理由を挙げてください。
4. 社内で作り込む候補のうち、最初の90日で着手すべき3つを、
   工数の削減幅と失敗したときの影響の小ささから選んでください。

専門用語は使わず、業務部門の担当者が読んで判断できる言葉で書いてください。

(ここに業務一覧を貼り付け)

出てきた仕分けは、そのまま採用するものではありません。担当者が「これは外に出せない」と反応した業務にこそ、一覧には書かれていない社内の事情があります。その会話をするために案を出させる、という使い方をしてください。

生成AIの内製化で判断に迷いやすい3つの論点

進めるうちに、社内で必ず議論になる点があります。

エンジニアを採用すべきか。最初の90日では不要です。業務側の担当者2名と、期間を区切った外部支援で型は作れます。採用を検討するのは、内製する範囲が複数部門に広がってからです。

ノーコードのツールで足りるか。最初の1業務は足ります。ただし、業務が複雑になったときに移行できる形で作っておいてください。ツールの中に判断のロジックを閉じ込めると、外に出せなくなります。

内製化の成果はどう測るか。削減した工数だけでは足りません。浮いた時間が何に使われたかまでを1枚にしてください。削減の報告で終わると、次の投資が承認されなくなります。

AIによる業務効率化が進まない理由 ~業務設計編~
お役立ち資料|AX(AI活用)推進

AIによる業務効率化が進まない理由 ~業務設計編~

AIを入れて作業は速くなったのに、月末の残業は減らない。切り出した業務の前後に、AIを使うための新しい仕事が生まれているからです。AX推進責任者が着手前に必ず押さえるべき、手戻りを生まない業務の切り分け方を解説します。

資料をダウンロード

どこまでを社内に取り込み、どこを外に置き続けるかの線引きでお困りでしたら、一度ご相談ください。

いまの業務と体制をお聞きして、最初の90日で着手する範囲と、支援が要らなくなる状態の定義まで一緒に決めます。

無料で相談する

生成AIの内製化は抜ける状態を決めてから始める

内製化がうまくいく会社は、始める前に終わりを決めています。どの業務が、誰の手で、外部の支援なしに改修できるようになったら完了なのか。この定義があると、90日の中で何を残すべきかが決まります。

定義がないまま始めると、動くものは増えても、それを直せる人が増えません。半年後にまた外注の見積もりを取ることになります。

生成AIが現場で使われなくなる仕組みは生成AIが定着しない理由で扱っています。

リデザインワーク 編集部

リデザインワークは、仕組みを変え、行動を変え、企業成長と多様な個人の活躍が同時実現できる企業づくりを、HRコンサルタントとAIプロダクトで支援する会社です。経営戦略と一貫した人事戦略を描くだけでなく、それが現場に定着し行動が変わるまで伴走する中で得た知見やノウハウを発信しています。

運営会社を見る ›