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DXコンサルの選び方|PoCで終わる会社と自走できる会社の見分け方

AIを導入したはずなのに、半年後には誰も使っていない。試験導入では動いたのに、本番の業務には広がらない。DX(ITで仕組みを変える取り組み)やAX(AIを前提に業務のやり方を変える取り組み)のコンサルを入れた会社で、こうした声はよく聞きます。

支払った費用に対して、社内に残ったものが少ない。ツールは増えたのに、担当者の仕事のやり方は前と変わらない。

ここでつまずく会社と、一度支援を受けたら自分たちで回し続けられる会社の差は、発注前のコンサルの選び方でほぼ決まっています。

この記事では、DX・AXコンサルの選び方を、PoCで終わる会社と自走できる会社を見分ける観点で整理します。最後に、そのまま使える選定チェックリストもつけました。

なぜDX・AXコンサルの支援はPoCで終わるのか

PoC(試験的に一部業務で効果を確かめる工程)そのものは悪くありません。問題は、PoCがゴールになってしまう構造です。

これは特定の会社の失敗談ではなく、業界全体で起きていることです。調査会社のGartnerは2024年に、生成AIのプロジェクトの少なくとも30%が、2025年末までにPoCの後で放棄されるとの見通しを示しました(Gartner プレスリリース)。理由として挙げられたのは、データの品質、リスク管理の甘さ、膨らむ費用、そして事業価値がはっきりしないことでした。

多くの支援は、ツールを入れて動くところまでを成果として設計されています。デモがうまくいけば契約上の役割は果たしたことになる。

けれど現場から見れば、そこがスタートです。動くと分かったツールを日々の業務に組み込み、例外が出ても回せる状態にする。この一番手間のかかる部分が、支援の範囲から抜けていることが少なくありません。

PoC止まりが起きる理由は、大きく3つに整理できます。

1つ目は、業務の言語化をしないまま、ツールだけを乗せること。誰が、どの判断を、どんな基準でしているかが曖昧なまま自動化しても、現場の実態に合わず使われなくなります。

この点は、企業自身が挙げる悩みとも重なります。帝国データバンクが1万312社から回答を得た調査(2026年3月)では、生成AI活用の懸念として、専門人材やノウハウの不足が41.3%、活用すべき業務範囲が40.0%で並んで上位に入りました。

道具が足りないという声ではありません。どの業務に、どこまで使うのかが決まらない。この状態のままツールだけが先に入るから、動いても定着しないわけです。

2つ目は、担当者に型が残らないこと。支援側が作業を巻き取ると、契約が終わった瞬間に再現できなくなります。

ここには、日本特有の事情も絡みます。IPAのDX動向2025によれば、DXを推進する人材が不足していると答えた日本企業は85.1%でした。米国の23.8%、ドイツの44.6%と比べて突出しています。

社内に担い手が薄いほど、外部へ丸ごと預ける形になりやすく、預けた分だけ型は社内に残りません。この繰り返しが、次のプロジェクトでも同じように外部を頼る状態、いわゆるベンダーロックインにつながります。

3つ目は、人月(かかった人数と月数で費用を積む契約)が、支援を長引かせる方向に働くこと。早く自走されると売上が減る側に立てば、卒業を設計する動機は生まれにくくなります。

まず、DXコンサルには4つの型があると知る

候補を比べる前に、相手がどの型の会社かを見ておくと、話の噛み合わなさの理由が分かります。DX支援をうたう会社は、出自でおおよそ4つに分かれます。

得意なこと 起きやすいこと
戦略系 経営課題の整理、方針づくり、投資判断 絵は描けるが、現場で動かす工程が支援範囲の外になりやすい
総合系 戦略から実装まで幅広く対応。大規模案件 体制が厚く費用がかさむ。人が入れ替わり型が残りにくい
IT系(システム開発会社) システムの設計と構築、ツールの導入 業務の見直しより、作ることが前提になりやすい
専門特化型 特定の業界や業務に絞った支援 対象範囲が狭く、全社の話には向かないことがある

どれが優れているという話ではなく、自社の詰まっている場所と型が合っているかが問題です。

方針が決まらないなら戦略系、作るものが決まっているならIT系が合います。一方、方針はあるのに現場で回らないという詰まり方をしている場合、必要なのは業務の言語化と役割分担であって、新しい絵でも新しいシステムでもありません。

自社がどの詰まり方をしているかを先に決めてから、候補を並べてください。順番が逆になると、相手の得意な形に自社の課題のほうが寄せられていきます。

DXコンサルの選び方|自走できる会社を見分けるチェックリスト

選び方の軸は、実績の派手さや料金の安さではありません。支援が終わった後、自社だけで回り続けるところまで、相手が設計に入れているかどうかです。

次の項目を、候補の会社にそのまま質問してみてください。

  1. 支援のゴールに「担当者が自分で回せる状態(自走)」が明記されているか
  2. ツールを入れる前に、対象業務の棚卸しと言語化の工程があるか
  3. 作業を代行せず、担当者が自分の手を動かす伴走の形になっているか
  4. 社内へ残る型(手順書・判断基準・運用ルール)が成果物に含まれているか
  5. 契約が人月ではなく、達成する状態や期間で区切られているか
  6. PoCの後に、本番業務へ組み込み定着させる工程まで見積もりに入っているか
  7. 例外が出たとき、担当者だけで対処できる設計になっているか
  8. 効率化で浮いた時間を次に何へ再投資するかまで一緒に考えてくれるか

このうち大半に明確な答えが返ってこない会社は、PoCで終わるリスクが高いと考えてよいでしょう。特に4番と5番に、自走を本気で設計しているかが表れます。

あわせて、すべてを一度に自動化しようとするのではなく、緊急度と事業への効き方から着手する業務の順番を決められるかも、良し悪しの分かれ目です。

自走まで支援する会社に共通する3つの条件

導入して終わりにしない会社に共通する条件は3つです。支援後に自社へ型(手順書・判断基準)が残ること。ツールを乗せる前に、業務の言語化まで入ること。そして人月で引き伸ばさず、早く自走させて手離れする方向に働くこと。

AIやツールは、業務の判断を肩代わりする道具ではなく、言語化された業務を速く回す道具です。AIが生む効果の多くは、新しい技術そのものより、業務プロセスをどう整理し組み替えるかから生まれます。

だからこそ、技術の話に寄せず、言語化と役割分担まで一緒にやってくれるかが効きます。Microsoft 365やCopilotしか使えない環境でも、その中で回る形を作れるかはCopilotを人事業務で活用する記事でも触れています。

DXコンサルとAXコンサルの違い

DXコンサルとAXコンサルは似た言葉ですが、変えにいく対象が違います。ここを取り違えると、期待した成果が出ません。

観点 DXコンサル AXコンサル
変える対象 システム・ITの仕組み 業務プロセスと人の働き方
主な打ち手 基幹システム刷新・ツール導入 業務の言語化・AIと人の役割分担
ゴール 仕組みが動くこと 現場で運用が回り、自走すること
費用の考え方 開発規模・工数ベースが中心 達成する状態と定着まで含めて考える
残るもの 導入したシステム 社内に残る型と、運用できる担当者

DXが主にシステムを入れ替えるのに対し、AXは業務プロセスそのものを、AIと人の役割から組み替えます。システムを新しくしても、業務の進め方が変わらなければ効果は限られます。

この違いは、国内のDX調査が示す方向とも重なります。IPAはDX動向2025の副題で、日本企業に必要な転換を、内向き・部分最適から外向き・全体最適へ、と表現しました。一つの部署の作業を部分的に速くするだけでは成果につながらず、業務の流れ全体と、その先の顧客への価値まで含めて組み替える必要がある、という指摘です。

AXコンサルを選ぶ側から見れば、判断の材料はここにあります。どの工程を速くするかだけを話す相手か、流れ全体のどこが詰まっているかから話を始める相手か。

逆に業務の言語化と役割分担から入ると、既存のツールのままでも運用が軽くなることは珍しくありません。人事のDXをどこから始めるかは、人事DXの進め方の記事でも整理しています。

AX推進支援を行うリデザインワーク社が関わった事例では、ある大手空間デザイン企業の給与業務で、月150時間ほどかかっていた確認作業を、機械判定・AI補助・人の確認に仕分けし直し、大幅に軽くしました。効いたのは新しいシステムではなく、業務の棚卸しと役割分担です。

DXコンサルの費用相場と、単価の裏側

見積もりを比べる前に、費用がどう積まれているかを知っておくと、話が早くなります。人月契約の場合、金額はおおむね担当者のランクと人数と月数で決まります。

公開されている相場をならすと、1人あたりの月額単価はおよそ次のレンジです(マネーフォワード クラウドの解説ほか、複数の公開情報より)。

役割 月額単価の目安
実務担当(調査・分析・資料作成) 60万〜250万円
現場責任者(進捗管理、論点整理) 150万〜400万円
統括責任者(経営層との折衝) 400万〜800万円

幅が大きいのは、大手の総合系と、専門特化型や個人とで単価が数倍違うためです。同じ「DX支援」でも、月50万円から月数千万円まで存在します。

ここで見落とされがちなのが、提案の場に出てきた人と、実際に手を動かす人が違うという構造です。

提案には経験の豊富な上位ランクが出てきます。ところが契約後、現場に常駐して作業するのは若手であることが珍しくありません。単価表を見れば分かるとおり、上位ランクを長期間張り付ける前提では、費用が成立しないからです。

AX推進支援を行うリデザインワーク社が発注側の話を聞くなかでも、この落差が期待外れの主因になっている例をよく見ます。

見積もりを受け取ったら、次の2つを聞いてください。

  1. 提案に出席している方は、契約後もこのプロジェクトに入りますか。入るとしたら、月に何日ですか。
  2. 実際に現場で手を動かすのは、どのランクの方ですか。

答えを濁す相手なら、金額の比較に意味はありません。

費用は「安いか高いか」より「卒業までいくらか」で見る

DXコンサルの費用は気になりますが、単価の安さだけで選ぶと、かえって高くつくことがあります。人月契約は、支援が長引くほど費用がかさみ、自走が遠のく側に立たせてしまうためです。

見るべきは、支払った費用に対して社内に何が残り、いつ自分たちだけで回せるようになるかです。効率化で浮いた時間を、次にやるべきことへ再投資できて初めて投資は回収されます。

言い換えれば、支援に払う費用は、内製化(自社の担当者が自分で回せる状態にすること)を買うための費用だと捉えるのが実際に近い考え方です。同じ金額でも、外注し続ける前提の見積もりと、卒業を前提にした見積もりでは、3年後に残るものがまるで違います。

卒業の時期と、その後の再現性を確認してください。

選んだ後に効くのは、発注側が何を用意するか

良い会社を選んでも、丸投げにすると結果は変わりません。ここまで見てきたとおり、支援の質を決めるのは業務の言語化です。そして、自社の業務を一番知っているのは自社の担当者です。

発注側で先に用意しておくと、支援の立ち上がりが目に見えて変わるものが3つあります。

  1. 対象業務の一覧と、かかっている時間。完璧でなくてかまいません。名前のつく単位で洗い出し、頻度と1回あたりの時間を書いた表が1枚あれば、初回から具体的な議論になります。
  2. 意思決定できる人の同席。現場だけで進めると、後から経営や情報システム部門で止まります。月1回でよいので、決められる人が入る場を先に押さえておきます。
  3. 自社側の担当者を1人決める。支援側の作業を受け取り、社内へ広げる役です。ここが空席のまま始めると、契約終了と同時に全部が止まります。

支援会社を探し始める前に、この3つのうち1つ目は自社でできます。業務の一覧を持って商談に臨むと、候補の会社の実力が測りやすくなります。表を見てすぐ突っ込んだ質問が出る相手と、一般論の説明を続ける相手では、その場で差が出ます。

発注の前に、AX戦略の全体像を押さえておく

ここまで見てきた観点は、突き詰めれば一つの問いに行き着きます。人とAIの役割をどう分け、どの業務から着手し、浮いた工数をどこへ振り向けるか。

この全体像を先に持っておくと、候補の会社が話す内容の深さや順番から、良し悪しを自分で見分けられるようになります。逆に全体像がないまま話を聞くと、耳ざわりのよい提案に流されがちです。

発注の前に押さえておきたいAX戦略の勘所(人とAIの役割・着手順・再投資まで)を整理したのが、資料『AX戦略を考えるときに抑えるべき6つの考え方』です。

AX戦略を考えるときに抑えるべき6つの考え方
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良いコンサルは、卒業までを一緒に描く

良し悪しを分けるのは、実績の数でも料金の安さでもありません。ツールを乗せる前に業務を言語化し、担当者の手に型を残し、人月で引き伸ばさずに卒業の時期まで一緒に描けるか。

この三つがそろっている会社は、支援が終わった後も現場が自分たちで回り続けます。

発注の前に候補へ同じ質問を投げ、返ってくる答えの具体性を比べてみてください。それだけで、PoCで終わる会社と自走できる会社は、かなりの確度で見分けられます。

着手する業務の順番をどう決めるかは、業務棚卸しの記事で具体的に扱っています。

リデザインワーク 編集部

リデザインワークは、仕組みを変え、行動を変え、企業成長と多様な個人の活躍が同時実現できる企業づくりを、HRコンサルタントとAIプロダクトで支援する会社です。経営戦略と一貫した人事戦略を描くだけでなく、それが現場に定着し行動が変わるまで伴走する中で得た知見やノウハウを発信しています。

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