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MBOとは|目標管理の仕組み・OKRとKPIとの違い・運用が形骸化する4つの原因を解説

期初の目標設定の時期になると、去年の目標をコピーして日付だけ変えた提出物が並ぶ。上司は忙しく、面談は15分で終わる。人事は集めたシートを保管するだけになっている。目標管理の運用に入っていると、この状態に出会うことがあります。

MBOは多くの日本企業が採用している目標管理の仕組みです。一方で、制度としては動いているのに、目標が行動を変えていないという状態も広く見られます。

形骸化する原因は、目標の書き方よりも、目標を設定する側の前提がそろっていないことにあります。

この記事では、MBOの定義と成り立ち、OKRやKPIとの違い、運用サイクル、SMARTの使いどころと限界、そして形骸化する4つの原因を整理します。

記事の最後には、部下の目標案を評価者の視点で点検するプロンプトを掲載しました。提出された目標を貼り付ければ、曖昧な箇所と具体化の質問が出るので、面談前の準備にお使いください。

MBOとは目標の達成度で評価する仕組み

MBOとは、個人やチームが自ら設定した目標の達成度によって評価を決める仕組み。Management by Objectives の略で、日本語では目標管理制度と呼ばれます。

提唱したのはピーター・ドラッカーで、1954年の著書で示されました。原語は Management by Objectives and Self-control であり、自己統制という語が含まれている点が要点になります。

上から目標を割り当てる仕組みではなく、本人が目標を立てて自ら管理することで組織の成果につなげる、という設計思想。

日本では1990年代に成果主義の広がりとともに普及しました。その過程で人事評価と強く結びついたため、本来の自己統制の側面が薄れ、評価のための書類作成として運用されている会社が少なくありません。

MBOとOKRとKPIの違い

3つはいずれも目標に関する枠組みですが、目的と運用の前提が異なります。混同したまま導入すると、どちらの利点も出ません。

比較軸 MBO OKR KPI
目的 人事評価の指標 全社の目標達成と成長 進捗の測定
評価との接続 直接つながる つながらない つながらない
期間 半年から1年 四半期 継続的
共有範囲 本人と上司 全社に公開 関係部門
達成水準 100%が前提 60%から70%で可 100%が前提
目標の性質 定量と定性の組み合わせ 定性の目標と定量の指標 定量のみ

最も重要な違いは、評価とつながるかどうか。MBOは報酬に反映されるため、本人は達成できる水準に目標を置こうとします。OKRは報酬と切り離すことで、達成が難しい目標を掲げられるようにしています。

したがって、MBOのまま「もっと挑戦的な目標を」と求めても、構造上そうなりません。挑戦を促したい場合は、評価との接続を切るか、達成度以外の評価軸を用意する必要があります。

KPIは目標ではなく指標。MBOの目標を測る手段としてKPIを使う、という関係になります。

MBOの運用サイクルは4段階

MBOは年間を通じた運用で成り立ちます。設定だけを丁寧にやっても、途中の確認がなければ機能しません。

段階 時期 やること
目標設定 期初 本人が案を作り、上司と面談で確定する
進捗確認 期中 状況を確認し、前提が変わっていれば修正する
振り返り 期末 本人が自己評価を書き、上司が評価する
評価と接続 期末後 評価結果を報酬と等級の判断に反映する

期中の進捗確認を省く会社が最も多くなります。期初に立てた目標は、半年もすれば前提が変わります。確認の場がないと、期末に「この目標はもう意味がない」という話になり、評価そのものが成立しなくなります。

進捗確認は、1on1などの既存の面談に組み込むと定着します。目標管理のためだけに新しい面談を作ると、続きません。

目標設定にSMARTが使われる理由と限界

目標の書き方の枠組みとして、SMARTが広く使われています。5つの頭文字を取ったものです。

要素 意味 確認する問い
Specific 具体的 何をするのかが読んで分かるか
Measurable 測定可能 達成したかを判定できるか
Achievable 達成可能 現実的な水準か
Relevant 関連性 上位の目標につながっているか
Time-bound 期限 いつまでかが決まっているか

実務でよく抜けるのはR。具体的で測定可能な目標であっても、事業の目標とつながっていなければ、達成しても組織の成果になりません。「資格を取得する」という目標が、その職務で何を可能にするのかまで書かれていない状態がこれにあたります。

Aの達成可能も扱いが難しい要素です。MBOは評価とつながるため、本人は達成できる水準に置こうとします。ここを上司が引き上げないと、目標の水準が年々下がります。

MBOが形骸化する4つの原因

制度としては動いているのに行動が変わらない場合、原因はおおむね次の4つに整理できます。

原因 起きること 手当て
目標が低く置かれる 達成率は高いが成果は伸びない 上司が水準を確認する場を作る
目標外の業務が軽視される 評価されない仕事が滞る 目標に載らない業務の扱いを決めておく
上司の負担が大きい 面談が形だけになる 対象人数と面談の設計を見直す
期中の変化に対応できない 期末に目標が意味を失う 修正の手順を明文化する

2番目は見落とされやすい問題。目標に書かれた業務だけが評価されると、日常の運用や他部署の支援といった、書きにくい仕事の優先度が下がります。目標の達成度以外に情意面の評価を置くのは、この穴を埋めるためです。

評価の基準を業績・能力・情意の3つに分ける考え方は、人事考課とはで整理しています。

人事部門自身の目標がSMARTになっていない

SMARTの観点を踏まえ、事業戦略と接続した目標設定を全社に求める。これが人事部門の役割になっています。

一方で、リデザインワークが人事制度の設計支援に入っていると、それを推進する人事部門こそが自部門の目標をSMARTに書けていないという場面によく出会います。「エンゲージメントの向上」「人材育成の強化」といった、達成の判定ができない目標が並んでいる状態です。

これは人事部門の能力の問題というより、人事の仕事が数字になりにくいという性質によるものです。採用人数のように測れる指標もありますが、制度の浸透や組織風土は、何をもって達成とするかを自分で定義しなければなりません。

ただし、推進する側の目標が曖昧なまま現場に具体性を求めても、説得力は生まれません。目標管理の運用を立て直すときは、人事部門自身の目標を先に書き直すところから始めると、現場への説明が通りやすくなります。

判定の基準を作る際は、行動の水準で書くと決めやすくなります。行動を評価に落とす書き方はコンピテンシー評価で扱っています。

部下の目標案を点検するプロンプト

提出された目標を、面談の前に確認するための指示文。

あなたは人事評価の運用に詳しいコンサルタントです。
以下は部下から提出された目標案です。評価者の立場で点検してください。

【出力してほしいもの】
1. SMARTの5要素それぞれについて、満たしているかの判定と根拠
2. 特に「上位の目標とのつながり」が読み取れるかの確認
3. 期末に達成の判定で揉めそうな箇所と、その理由
4. 面談で本人に確認すべき質問(3つまで)
5. 目標に載っていないが、この職務で必要と思われる業務

【部下の目標案】
(ここに貼り付け)

【部署の目標】
(ここに貼り付け)

5番目の出力が、目標外の業務が軽視される問題への手当てになります。目標に載らない仕事を面談で言語化しておくと、期末の評価で扱えるようになります。

目標管理を評価制度の中に位置づける

MBOは単独の仕組みではなく、等級・評価・報酬の全体の中で動きます。目標の達成度をどの程度の重みで報酬に反映するかは、制度全体の設計で決まります。

その設計手順は人事評価制度の作り方で解説しています。

なお、目標管理の運用の立て直しについては、リデザインワークの人事制度設計支援でも無料でご相談を承っています。

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お役立ち資料|人事評価制度

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リデザインワーク 編集部

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