CopilotのExcelでの使い方|人事データの集計を任せる指示文つき
Excelの画面にCopilotのボタンが出ているので押してみた。「このデータを分析して」と入力したら、当たり障りのない要約が返ってきて、それきり使わなくなった。
Copilotは、指示の粒度がそのまま出力の粒度になります。「分析して」と頼めば分析らしきものが返り、「部署別の平均残業時間を出す式を書いて」と頼めば式が返ります。
そこでこの記事では、ExcelのCopilotでできることを4つに整理し、使えるための前提条件、人事の実務でそのまま試せる指示文、そして数式を鵜呑みにしないための確認手順までを扱います。
記事の中ほどには、勤怠・給与・研修のデータで使える指示文を6つ載せました。自分の担当データの列構成に置き換えれば、その日のうちに1件は形になります。
ExcelのCopilotでできることは4つに分かれる
まず全体像です。ExcelのCopilotができるのは、次の4つです。
| できること | 頼み方の例 | 返ってくるもの |
|---|---|---|
| 数式を作る | 部署別の平均残業時間を出す式を書いて | 実際に入力できる数式 |
| 集計と並べ替え | 残業時間が多い順に上位20行を出して | 条件を適用した表 |
| 傾向の要約 | この表から気になる傾向を3つ挙げて | 文章での要約 |
| 表の整形と可視化 | 月別の推移が分かるグラフを作って | グラフと集計表 |
このうち実務でもっとも効くのは、1番の数式を作る作業です。関数の書き方を調べる時間がなくなり、複雑な条件でも一度で組み上がります。
反対に、3番の傾向の要約は期待外れになりやすい機能です。データの背景を知らないため、数字の上下をなぞった文章が返ってきます。要約は当たりをつける材料であって、判断そのものではないと考えてください。
ExcelでCopilotが使えるための3つの前提
機能の話に入る前に、動く条件を確認します。ここがそろっていないと、ボタンが出ていても期待した動きになりません。
- 有償のMicrosoft 365 Copilotのライセンスが割り当たっていること。無償の対話画面は、開いているファイルの中身を読みません。
- ファイルがOneDriveかSharePointに保存されていること。自分の端末に置いたままのファイルは対象外です。
- データがテーブル形式になっていること。1行目が列名で、結合セルや小計行が途中に挟まっていない状態を指します。
3番でつまずく例がもっとも多くあります。人事のデータは、見やすさを優先して結合セルや小計行が入っていることが少なくありません。
Copilotに渡す前に、表の範囲を選んで挿入からテーブルに変換してください。この一手間で、返ってくる精度が変わります。
技術的に動かない場合の切り分けは、Copilotが使えない原因にまとめています。
人事データでそのまま試せるCopilotの指示文
ここからは実務です。指示文には、列構成を必ず添えてください。Copilotは列名を読みますが、どの列が何を意味するかまでは分かりません。
勤怠データの集計
このシートは勤怠データです。
A列: 社員番号 B列: 氏名 C列: 部署 D列: 等級 E列: 残業時間 F列: 有給取得日数
1. 部署別の平均残業時間を出す数式を書いてください。
2. 残業時間が上位10%に入る社員を抽出する手順を書いてください。
3. 有給取得日数が5日未満の社員を色分けする条件付き書式の設定手順を書いてください。
それぞれ、実際に入力する数式の形で示してください。
給与データの点検
このシートは当月と前月の支給データです。
A列: 社員番号 B列: 部署 C列: 当月支給額 D列: 前月支給額 E列: 手当区分
1. 当月と前月の差額を出す数式と、差額の大きい順に並べる手順を書いてください。
2. 差額が3万円以上の行を抽出する数式を書いてください。
3. 手当区分ごとに、当月の合計額と件数を出す数式を書いてください。
金額の正誤は判断せず、確認すべき行を絞り込む形にしてください。
最後の一文が要点です。金額が正しいかどうかを判断させるのではなく、確認する順番を決めさせる使い方に限定します。
研修の受講データ
このシートは研修の受講記録です。
A列: 社員番号 B列: 部署 C列: 等級 D列: 研修名 E列: 受講状況(受講済・未受講)
1. 部署別・等級別の受講率を出すクロス集計の手順を書いてください。
2. 受講率が50%を下回る区分を抽出する数式を書いてください。
3. 未受講者の一覧を、部署ごとに分けて出す手順を書いてください。
数式の意味を確認する
返ってきた数式が読めないときは、そのまま聞き返せます。
この数式が何をしているかを、引数ごとに分けて説明してください。
また、データにどんな例外があると結果が狂うかを挙げてください。
2つ目の質問を必ず入れてください。空白セルや文字列が混ざったときにどう振る舞うかを先に把握しておくと、検算の手間が減ります。
Copilotが作った数式は必ず検算する
数式が返ってきたら、そのまま使わずに確認します。手順は3つで足ります。
- 既知の値で試す。手計算で答えが分かる5行だけを別シートに切り出し、同じ数式を当てて一致するかを見ます。
- 端の値を入れる。空白セル、0、想定外の文字列を入れて、エラーになるか無視されるかを確認します。
- 合計が元データと合うかを見る。集計後の合計と、元データの合計が一致するかを必ず突き合わせます。
3番だけでも、多くの取り違えは見つかります。フィルタが効いたままの範囲を集計していた、といった単純な誤りは合計の不一致に表れます。
人事のデータは、外れたときに個人の不利益へ直結します。任せてよいのは確認すべき箇所を見つける工程までで、金額や評価の確定は人の工程です。この線引きは人事のAI活用はどこまで任せるかで整理しています。
ExcelのCopilotがうまく動かない3つの原因
期待した結果が返らないときは、次の順に確認してください。
- 表がテーブル形式になっていない。結合セル、途中の小計行、複数行にまたがる見出しが原因です。範囲を選んでテーブルに変換します。
- 列名が省略されている。「日付1」「区分」のような列名では、何のデータか伝わりません。指示文に列の意味を書き添えるか、列名自体を具体的にします。
- 指示に条件が入っていない。「集計して」ではなく、何を軸に、どの範囲で、どう並べるかまで書きます。
3つのうち、直して効き目が大きいのは1番です。見やすさのために整えた書式が、そのままCopilotにとっての読みにくさになっています。
使うときに迷いやすい2つの論点
元のデータをCopilotに渡してよいのか。有償のMicrosoft 365 Copilotは、自分がアクセスできる範囲のデータを対象に動きます。
とはいえ、個人が特定できる情報を扱う場合は、社内の利用ルールで扱いを決めておいてください。線引きの作り方は生成AI導入ガイドラインの作り方にまとめています。
関数を覚えなくてよくなるのか。数式を書く手間は減りますが、返ってきた数式を読める必要は残ります。検算のためです。関数の暗記は不要になり、読解は必要なままだと考えてください。
ExcelのCopilotは指示の粒度で結果が決まる
ExcelのCopilotは、賢い相手というより、条件を細かく伝えるほど正確に応える道具です。列構成を添え、何を軸にどう並べるかまで書けば、返ってくる数式はそのまま使えます。
そして、返ってきたものは必ず検算する。この2つを守れば、集計にかけていた時間は確実に短くなります。
労務・給与・採用の業務別の使いどころはCopilotの使い方に、任せる範囲の決め方は人事のAI活用はどこまで任せるかにまとめています。
どの業務から着手し、浮いた工数をどこへ向けるかまで含めて整理したのが、資料『AX戦略を考えるときに抑えるべき6つの考え方』です。

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まずは自分の担当データを1つ選び、列構成を書き添えて数式を頼んでみてください。返ってきた式の検算までを1往復すると、使いどころの感覚がつかめます。





