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CopilotのWordでの使い方|社内文書・規程・通知文の下書きを任せる指示文と人が直す箇所

「来月から在宅勤務の申請方法が変わるので、全社への通知文と規程の改定案を今週中にお願い」。課長にそう頼まれ、WordのCopilotに「在宅勤務規程の改定案を作って」と入力した。

第1条から第12条まで条文が並んだものの、自社の規程にない条文があり、申請の期限も実際とは違う日数になっている。結局、現行の規程を横に開き、1条ずつ照らし合わせることになった。

文章の作成は生成AIの用途で最も多く、その生成AIで最も心配されているのは正確さです。帝国データバンクの生成AIに関する企業の動向調査(2026年3月、有効回答1万312社)で、生成AIを業務で活用している3,560社に主な活用業務を聞くと、最多は「文章の作成・要約・校正」の45.1%でした。

同じ調査で、有効回答の1万312社全体に生成AI活用の懸念・課題を聞くと、最も多かったのは「情報の正確性」の50.4%です(3つまでの複数回答)。Copilotに社内文書を任せたときの時間は、書かせる速さよりも、確かめる手間で決まる。

この記事を読み終えると、通知文・規程の改定案・社員向けの説明文について、Copilotに渡す材料と指示文を決め、照合する箇所を絞った下書きを作れるようになります。

ライセンスとできること、使えない下書きになる3つの原因、指示の書き方と文書別の指示文、要約と書き換えの手順、人が直す5か所、社内ファイルを参照させるときの注意の順に説明する。

記事の中ほどには、通知文・規程の改定案と新旧対照表・社員向けの説明文の3種について、そのまま貼れる指示文を載せました。現行の規程や過去の通知文を指定して送れば、自社の文言を材料にした下書きを作れます。Copilotの回答が全般に一般論になりやすい理由は、Copilotが使えない原因で整理しています。

CopilotのWordでできることと使うためのライセンス

文書別の使い方に入る前に、WordのCopilotで何ができ、どのライセンスで使えるかを確認します。Microsoftのコンテンツの下書きと追加を行うのページは、できることを次のように挙げている。

できること 公式ページの説明 社内文書での使い道
下書きを開始する 要求・アウトライン・メモ・参照ファイルから最初の下書きを作る 通知文や規程の改定案
既存の形式と構造を再利用する テンプレートや既存の文書から始め、書式と構造を保って新しい内容を書く 毎月の通知文を前回の文書から作る
選択したテキストを書き換える 書き換え・トーンの調整・簡潔化を依頼する 規程の文言を社員向けの説明に直す
コンテンツを変換する 選択したテキストを表に変換する 改定前後の条文を表にする

ライセンスの区分は、所有している Copilot ライセンスの種類のページ(2026年4月更新)で確認できる。Microsoft 365のホームページで名前の下に「Copilot Chat(基本)」と表示される場合、WordのCopilotにはアクセスできません。

名称にも注意が必要です。Microsoftのデータ、プライバシー、セキュリティのページによると、Microsoft 365 Copilotは2026年にMicrosoft Copilotへ名称が変わり、移行期間中は旧称が残る場合がある。

社内の案内で名前が違っていても、同じ有償版を指している可能性があります。

Copilotは、文書の右下隅にあるボタンから開きます。無償版と有償版で人事や総務の業務のどこが変わるかは、Copilotの使い方で整理しました。

CopilotのWordで作った社内文書がそのまま使えない3つの原因

使える環境があっても、冒頭の場面のように1条ずつ照らし合わせることになれば、時間は減りません。そのまま使えない原因は、大きく3つです。

原因1 現行の規程や決まった事実を材料として渡していない

1つ目は材料の不足。Wordのよく寄せられる質問は、Copilotがインターネット全体の言語パターンに基づいて内容を生成すると説明しています。

「在宅勤務規程の改定案を作って」とだけ頼めば、一般的な規程の言葉の並びで条文が埋まる。自社にない条文や、実際と違う日数が入るのはそのためです。

原因2 文書の種類ごとの書式と構成を渡していない

2つ目は書式です。前の節で見た下書きと追加のページは、テンプレートや既存の文書から始めると、書式と構造を保ったまま新しい内容を下書きできると説明しています。

白紙から書かせると、見出しの立て方や言葉づかいが毎回変わる。社内の様式に合わせて体裁を直す作業が残ります。

原因3 長い規程を丸ごと渡して要約や改定をさせている

3つ目は渡す範囲です。Microsoftのドキュメントの長さが Copilot の応答に与える影響のページは、長いファイルでは先頭と末尾が優先され、中間部分への注意が薄くなる場合があると説明している。

数十条ある規程を丸ごと渡して改定が必要な箇所を挙げさせると、中ほどの条文が拾われない可能性があります。

原因1は材料の渡し方で、原因2は書き始める文書の選び方で、原因3は渡す範囲の分け方で防げる。以降の節は、この順に対応しています。

下書きをCopilotに任せられるようになっても、課の中で使う人が増えるとは限りません。規程や通知文の下書きをAIに任せると手を抜いていると見られる、という怖さや、自分の役割を失う不安が利用を止めることもあります。

AIの利用を止めるこうした不安と、AXを推進する側が突き当たる4つの思い込みを解消する方法は、資料『AIによる業務効率化が進まない理由 ~人・組織編~』で解説しています。

AIによる業務効率化が進まない理由 ~人・組織編~
お役立ち資料|AX(AI活用)推進

AIによる業務効率化が進まない理由 ~人・組織編~

環境も研修も用意した。それでも現場はAIを開かない。止めているのは理解不足ではなく、役割を失う不安や手を抜いていると見られる怖さです。AX推進責任者が必ず突き当たる4つの思い込みと、そのほどき方を解説します。

資料をダウンロード

Copilotに社内文書を書かせる指示は目的・読み手・材料・形式の4つを入れる

原因1と原因2は、指示の書き方で大半を防げます。公式の下書きの手順は、トピック・対象ユーザー・トーン・形式・長さなどの詳細を含めて作る内容を説明し、特定のソースを使うときは「/」と入力してファイルを選ぶ、という流れです。

社内文書では、これを4つの要素に整理しておくと漏れが出にくい。

要素 指示に書く内容 社内文書での例
目的 読み手にしてほしいこと 期限までに新しい方法で申請してもらう
読み手 誰が読むか、どの言葉づかいか 全社員・管理職・役員
材料 「/」で指定する文書と、決まった事実 現行の規程、決裁された変更内容
形式 見出し・長さ・表の有無 A4で1枚、見出し4つ

指示の最後には「材料にない日付・金額・日数・条文を足さない」「足りない箇所は【要確認】と書く」の2行を入れておく。照合すべき箇所が下書きの中で一目で分かるようになります。

通知文・規程の改定案・社員向けの説明文をCopilotに書かせる指示文

4つの要素を、総務や人事でよく作る3種類の文書に当てはめた例です。【】を自社の内容に差し替えて使います。

全社向けの通知文を書かせる指示

前回の通知文を別名で保存して開き、その文書の中でCopilotに次のように依頼します。既存の文書から始めると書式と構造が保たれる、という公式の説明に沿った使い方です。

この文書の書式と見出しのまま、内容を次の材料に置き換えてください。
目的は、全社員が【11月1日】以降、新しい方法で【在宅勤務】を申請することです。

材料:
・変更の内容【 】
・対象者【 】
・開始日【 】、問い合わせ先【 】

条件:
・A4で1枚に収める
・材料にない日付や手順を足さない
・足りない箇所は【要確認】と書く

社内規程の改定案と新旧対照表を書かせる指示

/【現行の在宅勤務規程のファイル名】の改定案を作成してください。
改定する内容は次のとおりです。
1.【申請の期限を前日から3営業日前に変更する】
2.【 】

出力:
・改定が必要な条文だけを、「条番号」「現行」「改定案」「改定の理由」の4列の表にする
・改定しない条文は書き換えない
・材料にない条文を新しく作らない。追加が必要と思われる場合は【追加の要否を確認】と書く

Copilotの改定案は、検討の材料にとどまる。改定するかどうかと条文の確定は担当者が判断し、労務の判断を伴う規程は社会保険労務士などの確認を経ます。労務の業務でAIに任せない判断は、労務業務のAI活用で扱っています。

規程を社員向けの説明文に書き換えさせる指示

/【旅費規程のファイル名】の第【5】条から第【8】条を、初めて出張する社員向けの説明文に書き換えてください。

条件:
・規程の意味を変えない
・1つの段落に1つの手続きを書き、手順は番号つきにする
・金額と日数は規程の数字をそのまま使い、段落の末尾に条番号を書く
・規程から読み取れない運用は書かず、【担当者に確認】と書く

範囲を条番号で区切るのは、原因3で見た長い文書の問題を避けるため。規程が読み手向けに書かれていないと社員からの質問が増える理由は、人事への問い合わせを減らすで説明しています。

既存の文書をCopilotで要約・書き換える手順

下書きのほかに、届いた文書の要約と手元の文書の書き換えにもCopilotを使えます。どちらも、原因3への対策として渡す範囲を分けておく。

長い規程や資料をCopilotで要約する

要約は、Copilotのチャットで依頼します。Microsoftのドキュメントの要約を作成するのページによると、Microsoft 365 Copilotのライセンスがあり、文書がOneDriveかSharePointに保存されている場合は、開いたときに要約が自動で表示されることがある。

同じページは、Copilotが文書全体を考慮しても、要約の根拠となる箇所への引用を常に示すとは限らないと書いています。そこで、根拠の条番号や見出しを書かせ、原文に戻れるようにしておく。

このドキュメントの第【3】章を要約してください。
・要点を5つの箇条書きにする
・各要点の末尾に、根拠になる条番号か見出しを書く
・決まっていないことや、読み手によって解釈が分かれる箇所があれば最後に挙げる

Copilotで文章を書き換えるときは変更の追跡をオンにする

一部の文章を直すときは、テキストを選んで[書き換え]などのプリセットを選ぶか、チャットで変更を説明します。Word の Copilot へようこそのページは、「このセクションの意味を変えることなく、より簡潔にして」のような指示を例に挙げている。

文書を直接書き換える[Copilot で編集]は、Microsoft 365 Copilotなどのライセンスの利用者に順次提供中です。Copilot in Word で編集するのページによると、Copilotは文書に直接変更を加え、[変更の追跡]が有効ならその変更は追跡される。

規程のファイルをCopilotに直接直させる前に、[変更の追跡]をオンにしておく。どの条文がどう変わったかを、人が1つずつ確認できるからです。

同じページには、コメントが付いた段落を変更するとコメントが削除される可能性がある、とも書かれています。確認の途中にある文書は、コメントを残したい版を別名で保存してから依頼する。

Copilotが書いた社内文書で人が直す5か所

指示と材料を整えても、確認は残ります。下書きと追加のページは、事実・番号・引用・名前・ポリシーステートメントなどの詳細を確認して検証するよう求め、共有する前に内容を残すか直すかを決める責任は利用者にあるとしている。社内文書に当てはめると、次の5か所です。

確認する箇所 社内文書での例 照合する相手
事実 開始日・対象者・手続きの順番 決裁された起案書・会議の記録
番号 金額・日数・期限・人数 現行の規程・社内の決定
引用 条番号・規程名・法令名 規程と法令の原文
名前 部署名・担当者名・システム名 組織図・社内の正式名称
ポリシーステートメント 「しなければならない」「できる」など義務と権利の書き方 現行の規程・決裁の内容

5つ目は見落とされやすい。「申請できる」と「申請しなければならない」は数文字の違いですが、社員の義務が変わります。

よく寄せられる質問によると、Copilotは流暢で文法的に正しい文章を書く一方、意味を理解したり正確さを評価したりはできない。文章が自然に読めるほど、誤りに気づきにくくなります。読み流さず、5か所を原文と1つずつ照合する。

Copilotに社内ファイルを参照させるときの注意

材料を「/」で渡す使い方は便利な反面、Copilotがどこまで参照できるかを知っておく必要があります。

Microsoftのデータ、プライバシー、セキュリティのページは、Copilotは利用者本人が少なくとも表示の権限を持つ組織のデータだけを表示すると説明している。裏を返せば、共有の権限が広すぎるフォルダーの給与や人事評価のファイルも、本人が開ける限り参照の対象になります。

同じページによると、プロンプトや応答、参照されたデータは、基礎となる大規模言語モデルのトレーニングには使われない。下書きと追加のページも、Copilotは秘密度ラベルを尊重して適用すると書いています。

そのうえで、利用者が決めておくことは3つある。

  1. 参照させたい文書は「/」で明示し、Copilotが広く探す範囲に任せない
  2. 給与や人事評価など個人情報を含む文書を参照させてよいかは、社内の利用ルールで決める
  3. 共有フォルダーの権限が広すぎると気づいたら、情報システム部門に見直しを依頼する

リデザインワークのAX支援でも、AIに任せる業務を決める前に、その業務で使う文書の最新版と保存場所、閲覧できる人の範囲を確認します。個人情報を入力してよい範囲を人事部で決める手順は、人事部の生成AI導入で説明しています。

なお、社内文書の作成を含め、Copilotをどの業務にどう当てはめるかは、リデザインワークのAX支援でも無料でご相談を承っています。

CopilotのWordは原文と書式を渡すほど直す箇所が減る

3つの原因はいずれも、Copilotの文章力ではなく、渡す材料と、書き始める文書と、渡す範囲の問題でした。

Copilotは文章を整えられても、自社の規程や決まった事実は、渡されない限り知りようがない。現行の規程と前回の文書を渡し、範囲を区切って書かせ、5か所を照合する。この順にすると、確かめる手間は照合の作業に絞られます。

明日できるのは、来月出す通知文を1本選び、前回の通知文を別名で保存して、その中で下書きを頼むことです。総務の文書・問い合わせ・申請の業務全体でAIをどこから使うかは、総務のAI活用で整理しています。

リデザインワーク 編集部

リデザインワークは、仕組みを変え、行動を変え、企業成長と多様な個人の活躍が同時実現できる企業づくりを、HRコンサルタントとAIプロダクトで支援する会社です。経営戦略と一貫した人事戦略を描くだけでなく、それが現場に定着し行動が変わるまで伴走する中で得た知見やノウハウを発信しています。

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