CopilotのOutlookでの使い方|要約・返信下書き・コーチングと社外メールで任せない範囲
休み明けの朝、受信トレイに未読が80通たまっている。取引先と営業が20往復したスレッドに途中からCCで入れられ、「経緯は下記のとおりです。ご対応をお願いします」とだけ書いてあります。
OutlookのCopilotで要約すれば経緯は把握できるし、返信の下書きもすぐに出てくる。ただ、その下書きをそのまま社外へ送ってよいのかが分かりません。
メールは、届く量のわりに1通にかける時間が短い仕事です。Microsoftが Microsoft 365 の利用データを集計した2025年の調査に、その数字が出ています。
平均的な働き手が1日に受け取るメールは117通で、その多くは60秒未満で流し読みされていました(Microsoft Work Trend Index 特別レポート、2025年6月)。
メールを流し読みする習慣のまま、Copilotの下書きも確認することになります。要約と下書きを任せれば時間は浮く。一方で、下書きに入った誤った日付や約束に気づかないまま送る危険も増えます。
この記事を読み終えると、届くメールのうち、要約・下書き・コーチングをCopilotに任せるものと自分で書くものを分け、社外へ送る前の確認の手順を決められます。機能とライセンス、要約、返信の下書き、コーチング、社外メールで任せない範囲、誤送信と個人情報の順に説明する。
返信の下書きの節には、相手・用件・決まっている事実を埋めて貼るだけで、書いていない事実を足さない下書きが出る指示文を載せました。人事の問い合わせ対応でのOutlookの使いどころは、人事業務でのCopilotの使い方で扱っています。
CopilotのOutlookでできることとライセンスの確認
使い方に入る前に、OutlookのCopilotで何ができるかと、自分の環境で使えるかを押さえておきます。Microsoftの公式サポートページに載っている主な機能は、次の5つです。
| 機能 | 開く場所 | 使いどころ |
|---|---|---|
| 要約 | メール スレッド上部の[Copilot による要約] | 長いスレッドの経緯を把握する |
| 下書き | 作成画面のツール バーのCopilotアイコンから[Copilot で下書き](新しい Outlook では[下書き]) | 返信や連絡の文面を作る |
| コーチング | 同じメニューの[Copilot によるコーチング] | 自分で書いた文面を送信前に見直す |
| 会議出席依頼 | 新しい Outlook のツール バーの[Copilot でスケジュール] | スレッドの内容から会議を設定する |
| Copilot Chat | Outlook 上部の[Copilot]ボタン | 複数のメールや予定表にまたがる質問をする |
ライセンスについて、公式ページは「すべてのサブスクライバーが Outlook の Copilot にアクセスできます」としています(所有している Copilot ライセンスの種類)。
有償の Microsoft 365 Copilot のライセンスの有無で変わるのは、Copilotが参照できるデータの範囲です。この製品の名称は、2026年に Microsoft Copilot へ変わりました(Microsoft Copilot のデータ、プライバシー、セキュリティ)。
ライセンスがない場合も、Outlookに組み込まれた Copilot Chat(2026年に Microsoft Copilot Chat へ名称変更)で受信トレイ・予定表・会議について質問し、Outlookで直接操作できる(Copilot in Outlook とチャットする)。
ライセンスがあれば、Microsoft 365 全体のより広い社内データまで参照できます(Microsoft Copilot Chat の概要)。
自分がどちらかは、職場のアカウントで Microsoft 365 にサインインし、ホームの一番下にある名前の下のラベルで判別できます。
表示は「Copilot Chat (基本)」「M365 Copilot (基本)」「M365 Copilot (プレミアム)」のいずれかで、有償のライセンスがあるのは「M365 Copilot (プレミアム)」です。
もう1点、人事や総務の窓口で確認しておきたいのが共有メールボックスです。公式のよくある質問は、OutlookのCopilotの対象を本人のプライマリ メールボックスとし、共有メールボックスや代理人のメールボックスを除いています(Outlook の Copilot についてよく寄せられる質問)。
ただし、Outlook上部の[Copilot]ボタンから開く Copilot Chat は、共有メールボックスと代理人のメールボックスに対応しました(Outlook の Microsoft Copilot Chat を使用した共有メールボックスと委任メールボックス)。
部署の代表アドレスを共有メールボックスで受けている場合、そこに届いた問い合わせの要約と下書きは Copilot Chat に頼む。メールの仕分けや代理での送信、会議の設定は、共有メールボックスではまだ使えません。
Outlookで長いメールのスレッドをCopilotで要約する
5つの機能のうち、最初に試しやすいのが要約です。冒頭の場面のように、途中からCCで入れられたスレッドの経緯を把握するときに使います。
- 受信トレイで目的の会話を選ぶ
- メール スレッドの上部にある[Copilot による要約]を選ぶ([要約]と表示される場合もある)
- 要約がメールの上部に表示される。番号付きの引用を選ぶと、元のメールに移動する
新しい Outlook では、PDF・PowerPoint・Wordの添付ファイルに[ファイルの要約]を使えます(Outlook で Copilot を使用してメール スレッドを要約する)。
要約を読んだら、返信に関わる箇所だけ、番号付きの引用から元のメールの原文に当たります。要約は短くまとめるものなので、「ただし、〇〇の場合は」のような但し書きが省かれることがあるためです。
とくに見るのは、相手が付けた条件と、日付と金額の3つ。公式ページも、生成される情報を必ず確認し検証するよう求めています。
複数のスレッドにまたがる経緯は、Outlook上部の[Copilot]ボタンから開くCopilot Chatに頼みます。「[プロジェクトまたは顧客名] に関連する先週のメールを要約してください」は、公式ページがライセンスなしでも使える質問として挙げている例です。
Outlookで返信の下書きをCopilotに作らせる手順と指示文
経緯を把握したら、次は返信です。作成画面のツール バーにあるCopilotアイコンから[Copilot で下書き](新しい Outlook では[下書き])を選び、入力欄に指示を書いて[生成]を押します。本文に「/」と入力して[Copilot で下書き]を選ぶこともできる。
出てきた下書きは、新しい Outlook なら[短くする][長くする][トーンの変更]で調整し、違うと感じたら[再試行]で作り直します(従来の Outlook では[調整]と[再生成])。よければ[保持]を選び、必要に応じて直してから送信する(Copilot in Outlook へようこそ)。
下書きが期待と違うとき、まず疑うのは、Copilotが知らない事実を指示で渡したかどうかです。公式のよくある質問によれば、下書きの材料はスレッドの内容と組織の情報です。社内で決めたばかりの納期や、上司と相談して決めた値引きの可否は、その材料のどこにも書かれていません。
そこで指示文には、決まっている事実と、まだ決まっていないことを分けて書きます。次の型を貼り、括弧の中を埋めて使ってください。
次の条件で、このスレッドへの返信の下書きを作ってください。
【相手】(例)取引先の購買担当の方。社外
【用件】(例)見積書の再送の依頼に回答する
【決まっている事実】(例)修正した見積書を本日中に送る。金額は変わらない
【決まっていないこと】(例)納期。社内で確認中で、11月14日までに連絡する
【長さ】200字以内
【条件】
・【決まっている事実】にない日付・金額・約束は書かない
・【決まっていないこと】は、確認中であることと連絡する日だけを書く
・お詫びの言葉は1回まで
・件名は変えない
【決まっていないこと】の欄を設けるのは、確認中の事項を、確定した事項のように書かせないためです。この欄がないと、確認中の納期に触れない返信になるか、根拠のない日付が入った返信になるおそれがあります。
ほかの場面では、【用件】と【決まっている事実】を差し替えて使う。
| 場面 | 【用件】の例 | 【決まっている事実】の例 |
|---|---|---|
| 社内の日程調整 | 来週の打ち合わせの候補日を返す | 火曜の午後と木曜の午前が空いている |
| 社員からの問い合わせへの回答 | 有給休暇の繰越について回答する | 就業規則の該当条文の内容 |
| 社外への資料送付 | 依頼された資料を送る連絡をする | 添付は2点。社外秘の資料は含まない |
| 依頼の断り | 今回の依頼を見送る連絡をする | 予算の都合で今期は見送る。来期に再検討する |
一部の言い回しだけを直したいときは、本文の該当箇所を選んで[Copilot]ボタンを押すと、選んだ部分だけを書き換えられます。
下書きの作り方が分かっても、Copilotで書いた返信を送ることに迷いを持つ人もいます。AIに任せると手を抜いていると見られる、という不安です。
環境も研修も用意したのにAIが使われない職場で、推進の担当者が突き当たる4つの思い込みと解き方を整理したのが、資料『AIによる業務効率化が進まない理由 ~人・組織編~』です。
Copilotによるコーチングで送信前にメールの文面を見直す
下書きを任せずに自分で書いたメールにも、Copilotは使えます。作成画面で本文を入力し、ツール バーのCopilotアイコンから[Copilot によるコーチング]を選ぶ。
Copilotがメールを読み、トーン・明確さ・読み手の気持ちについての提案を返します(Outlook で Copilot を使用したメール コーチング)。
提案をまとめて反映するなら[すべての提案を適用]、一部だけなら自分で書き換えます。スマートフォンのOutlookでは、提案を受けるには少なくとも100文字を入力するよう案内されている。
使いどころは、言い方で相手の受け取り方が変わるメールです。支払いの催促、依頼の断り、クレームへの最初の返信。自分で書くと強くなりすぎたり、遠回しになりすぎたりする文面を、送信前に見直せます。
ただし、コーチングが見るのはトーン・明確さ・読み手の気持ちの3つです。日付や金額や宛先が正しいかは、公式ページが挙げる提案の観点に含まれていません。文面が整った後のほうが、中身の誤りはかえって目に留まりにくくなる。
社外メールの下書きをCopilotに任せない3つの範囲
要約・下書き・コーチングの使い方が分かると、どこまで任せてよいかが次の問いになります。社内メールの下書きは、誤りがあっても次のやり取りで直せる。社外メールで人が書くべき範囲は、大きく3つです。
範囲1 納期や金額など約束になる文
1つ目は、相手との約束になる文です。前の節で見たとおり、Copilotの下書きの材料はスレッドと組織の情報で、社内で決めたばかりの事実は入っていません。納期・金額・支払条件・回答期限は、決まっている事実として人が書き、Copilotには文面を整えさせるだけにします。
範囲2 お詫びと責任の所在を伝える文
2つ目は、お詫びと責任の所在に触れる文です。送ったメールは取り消せず、相手の会社の記録として残ります。誰の責任で何が起き、どう防ぐかは、社内で事実関係を調べた内容を人が書き、上長の承認を得てから送る。Copilotに頼むのは、文の順番と言い回しの案までです。
範囲3 社内のやり取りが混ざったスレッドの転送
3つ目は、社内のやり取りを含んだスレッドを社外へ出す操作です。社内で「この取引先は値引きに応じやすい」と話したスレッドに、そのまま社外の相手を加えて返信すると、過去のやり取りも相手に届きます。要約も同じで、社内向けに作った要約を社外に転送すると、社内の判断まで伝わる。
3つの範囲を、メールの種類ごとにまとめると次のとおりです。
| メールの種類 | Copilotに任せる範囲 | 人が書く・確認する箇所 |
|---|---|---|
| 受領の連絡・日程調整 | 下書きまで | 日時と宛先 |
| 資料送付・事務連絡 | 下書きまで | 添付ファイルと宛先 |
| 見積・納期・条件の回答 | 文面の整え | 金額・日付・条件は人が書く |
| お詫び・クレームへの回答 | 構成と言い回しの案 | 責任の所在と再発防止の内容。上長が承認する |
| 契約・採用の合否・人事評価 | 任せない | 全文を人が書く |
誤送信と個人情報でOutlookのCopilotを使う前に決めること
任せる範囲を決めても、送る操作と、Copilotに読ませる情報の扱いは別に決めておく必要があります。
まず誤送信。Copilotが作るのは下書きまでで、[送信]を押すのは本人です。
注意したいのは[Copilot でスケジュール]です。公式ページによれば、スレッド内の人が会議の出席者に入り、メール スレッドが添付ファイルとして追加されます(Copilot in Outlook へようこそ)。
社外の人が含まれるスレッドから社内会議を設定する場合、出席者から社外の人を外さずに送ると、出席依頼とスレッドの全文が社外に届きます。
送信の前には、次の5つを見直します。
- 宛先とCCに、送るつもりのない人が入っていないか
- 日付・金額・社名と氏名が、元のメールや社内の決定と合っているか
- 決まっていない事項を、決まったように書いていないか
- 添付ファイルが正しい版か。社外秘の資料が混ざっていないか
- 引用された過去のやり取りに、社外に見せない社内の発言が残っていないか
次に個人情報です。Microsoftの説明では、Copilotは各ユーザーが少なくとも表示の権限を持つ組織のデータだけを表示し、プロンプトと応答は基盤となるAIモデルの学習に使われません(Microsoft Copilot のデータ、プライバシー、セキュリティ)。
一方で、プロンプトと応答は保存され、管理者は Microsoft Purview などで表示・管理できる。Copilotへの指示に書いた内容は、会社の記録として残ります。
社員の健康や家族の事情を含むメールを要約させてよいかは、本人の権限の範囲であっても、人事が社内のルールとして決めておくことです。入力してよい範囲を経営と決める手順は、人事部の生成AI導入で扱っています。
反対に、個人情報を理由に会社のCopilotを一律に禁止すると、メール本文を個人の生成AIに貼る社員が出るおそれもある。その防ぎ方はシャドーAI対策で整理しました。
OutlookにCopilotが表示されないときに確認する5点
ここまでの使い方を試そうとして、Copilotのボタンが出ないこともあります。公式ページに載っている条件は次の5つです。
- アカウントの種類 職場または学校のアカウントか、Outlook.comなどのMicrosoftアカウントか。Gmail・Yahoo・iCloudのメールを使うMicrosoftアカウントでは使えない
- Outlookの種類 Macは最新版の Outlook for Mac のみで、従来の Outlook for Mac は対象外。Copilotとのチャットは職場または学校のアカウントでサインインして使う
- メールボックス Exchange Online にあるメールボックスが対象。共有メールボックスと代理人のメールボックスでは、Copilot Chat に要約と下書きを頼む
- メールの形式 新しい Outlook と Outlook on the web では、プレーン テキスト形式のメールで下書きを使えない。[設定]からメールの作成形式をHTMLに変える
- 暗号化とラベル 暗号化されたメールや、一部の秘密度ラベルが付いたメールは対象外
5つを見直しても表示されない場合は、IT管理者に問い合わせるよう公式ページは案内しています。
なお、部署のメール対応のどこにCopilotを使うかの整理は、リデザインワークのAX支援でも無料でご相談を承っています。
OutlookのCopilotは送る前の確認で使い方に差が出る
OutlookのCopilotを使うと、メールの仕事は読むことと書くことから、確認して送ることへ比重が移ります。そのとき差が出るのは、下書きの文章の出来ではありません。決まっている事実と決まっていないことを指示で分けて渡し、送る前に宛先と約束の文を見直しているかどうかです。
明日、返信が必要なメールを1通選び、上の指示文の【決まっていないこと】の欄を埋めて下書きを作ってみてください。
自分で一から書いた場合と比べて、直した箇所がどこだったかを見れば、任せてよい範囲が分かります。Copilotの答えが当たり障りのない内容にとどまるときの直し方は、Copilotが使えない原因で扱っています。






