Copilot Chatと有料版の違い|無料でできる業務・料金と、追加購入で損しない判断基準
「Copilotの有料版は、全社員分を買う必要があるのか。無料のCopilot Chatと何が違うのか、来週の会議までにまとめてほしい」。部長からそう頼まれて、Microsoftのページを開いた。
ところが、Copilot Chat、Microsoft 365 Copilot、Microsoft Copilotと似た名前が並び、どれが何を指すのかを説明できない。
判断を急ぐ理由は金額にあります。Microsoftの料金ページ(2026年10月時点)では、300ユーザーを超える企業向けの有料版は1人あたり月4,497円相当(年払い・税抜)。
仮に1,000人に配ると、年間で約5,396万円(税抜)になります。一方のCopilot Chatは、対象のMicrosoft 365を契約していれば追加費用なしで使える。
この記事を読み終えると、自社の業務ごとに、無料のCopilot Chatで足りるか、有料版が必要か、使った分だけ支払うエージェントで補えるかを判定し、その理由を部長に説明できます。違い・料金・判断を誤る理由・無料版でできる業務・従量課金・判断基準の順に取り上げる。
記事の後半には、業務の一覧を貼り付けると、無料版・従量課金のエージェント・有料版・権限の整理が先、の4つに仕分けるAIへの指示文を載せました。出てきた表は、購入の要否を説明する資料の下書きにそのまま使えます。
人事業務での使いどころから先に知りたい場合は、Copilotの使い方で労務・給与・採用の例を整理しています。
Copilot Chatと有料版の違いは社内データを自動で参照するかどうか
Copilotは2026年に名称が変わり、似た名前が並んでいます。まず2つの製品を定義します。
Copilot Chatとは、対象のMicrosoft 365を契約している会社の社員が、職場のアカウントで追加費用なしに使えるAIチャットです。回答の根拠は主にWebの情報で、社内の資料は利用者が自分でアップロードしたものなどに限られる。
有料のMicrosoft 365 Copilotは、Copilot Chatの機能に加えて、本人がアクセスできるメール・会議・予定表・チャット・ファイルを自動で参照して回答します。
名称の変更は、Microsoftの管理者向けの資料に次のとおり書かれています(Microsoft Copilot Chatの管理)。
Microsoft 365 Copilot の名前が Microsoft Copilot になり、Microsoft 365 Copilot Chat の名前が Microsoft Copilot Chat になりました。
移行期間中は古い名前も残るため、この記事では検索で多く使われる名前に合わせ、有料版をMicrosoft 365 Copilot、無料版をCopilot Chatと呼ぶ。
| 比べる項目 | Copilot Chat(無料) | Microsoft 365 Copilot(有料) |
|---|---|---|
| 費用 | 対象のMicrosoft 365プランに追加費用なしで含まれる | 1人あたりの月額料金(アドオン) |
| 回答の根拠 | Webの情報と、自分でアップロードしたファイル | Webの情報に加え、メール・会議・予定表・チャット・ファイルを自動で参照 |
| Outlook | 受信トレイ・予定表・会議について質問できる(範囲は限定的) | 受信トレイ・予定表・会議・チャットと組織のデータまで扱える |
| Word・Excel・PowerPoint | 使えないか、標準アクセスで使える(ラベルで決まる) | 優先アクセスですべての機能を使える |
| エージェント | Webを根拠にするものは追加費用なし。社内データを読むものは従量課金 | 社内データを読むエージェントと、リサーチ ツール・アナリストなどの高度なエージェントを含む |
| 混雑時の応答 | 標準アクセス(ピーク時に制限される場合がある) | 優先アクセス |
出典はMicrosoft Copilot Chatの概要とライセンスの有無によるCopilot Chatの違いで、いずれも2026年10月20日に確認しました。
違いの中心は、社内のメール・会議・ファイルを、毎回渡さなくてもCopilotが自分で探しに行くかどうかです。
たとえば、通勤手当の申請期限について社員から問い合わせが来た場面で考えます。
無料版でも、就業規則のファイルをアップロードすれば回答案は作れる。ただし、去年の同じ質問への回答がメール・チャット・共有フォルダに散らばっている場合、無料版が参照できる範囲は限られます。有料版なら、本人が見られるそれらの情報を横断して過去の回答を探し、下書きに反映します。
データの扱いは両者で共通です。職場のアカウント(Microsoft Entra)でサインインすると、どちらもエンタープライズ データ保護の対象になり、Microsoftは「データは基礎モデルのトレーニングには使用されません」と明記しています(エンタープライズ データ保護)。
社員の個人情報をどこまで入力してよいかは、保護とは別に社内で決める必要がある。決め方は人事部の生成AI導入で扱っています。
Copilot Chatの料金と有料版の価格(2026年10月時点)
違いを確認したところで、費用を見ます。有料版は会社の規模で2つの商品に分かれ、Copilot Chatの利用者向けには、使った分だけ支払う従量課金もあります。
| 提供形態 | 対象 | 料金(円は税抜) | 支払い方 |
|---|---|---|---|
| Copilot Chat | 対象のMicrosoft 365プランを使う社員 | 追加費用なし | 該当なし |
| Microsoft 365 Copilot Business | 300ユーザーまでの会社 | 月3,148円相当(2026年12月31日までのキャンペーンでは初年度2,698円) | 年払い。月単位の契約は月3,778円 |
| Microsoft 365 Copilot | 300ユーザーを超える会社 | 月4,497円相当 | 年払い。年契約の月払いは月4,722円 |
| 従量課金のエージェント | Copilot Chatの利用者 | 1メッセージ0.01ドル | 使った分をAzureのサブスクリプションに請求 |
出典はMicrosoft Copilotの価格・企業向けの価格・ライセンスのオプション・従量課金制のメーターで、2026年10月20日に確認しました。価格は改定されるため、購入前に公式ページで最新の金額を確かめてください。
無料版との差額は、300ユーザーを超える会社なら1人あたり年53,964円(年払い・税抜)です。この差額で買えるのは、社内データの自動参照と、Word・Excel・PowerPointでの優先アクセスが中心になる。差額に見合うかどうかは、社内データを横断して使う業務の量で決まります。
運用の工数まで含めた総額は、生成AI導入の費用相場で規模別に試算しています。
追加購入を稟議にかけると、費用だけでなく、何がいくら返るのかを業務の単位で示すよう求められます。見積もりを取る前に押さえる費用の相場と、ROIの試算方法を解説したのが、資料『DXやAIによる業務効率化の費用とROI』です。
Copilotの追加購入の判断を誤る3つの理由
料金表を見ても、追加購入の判断はすぐには決まりません。判断を誤る理由は、大きく3つある。
理由1 有料版を持たない社員のラベルを1種類だと思っている
有料版を持たない社員の画面は、1種類ではありません。Microsoftは、有料のアドオンを持たない利用者を2つのラベルに分けています。
Word・Excel・PowerPointの中でCopilotを使えないのがCopilot Chat (Basic)、標準アクセスで使えるのがM365 Copilot (Basic) です。
契約しているプランが社員によって違う会社では、同じ無料版の社員でも、Wordで下書きを作れる人と作れない人が出ることがあります。この違いを知らずに試すと、無料版でできることの評価が担当者ごとに変わる。
理由2 社内の資料が必要な業務で無料版を試して効果を低く見積もる
無料版を試すときに、自社の規程について質問すると評価を誤ります。たとえば「うちの会社の慶弔休暇は何日か」と聞いても、Copilot Chatは社内の就業規則を見に行けないため、一般的な説明しか返りません。
これを見て「Copilotは使えない」と判断すると、有料版で何が変わるかを確かめないまま、検討そのものが打ち切られます。
理由3 全員分の有料版か全員無料版かの二択で予算を組む
3つ目は、選択肢の数です。全社員に有料版を配るか、全員を無料版のままにするかの二択で考えると、1,000人規模の会社では年5,000万円を超える稟議になる。
稟議が通らなければ全員が無料版のままで、規程の問い合わせのように社内データが必要な業務には手がつきません。実際には、社内の資料を読むエージェントだけを従量課金で使う方法があります。
以降の2つの節で、3つの理由を順に解消します。ラベルの思い込みはラベルの確認で、無料版の試し方の誤りは業務の仕分けで、予算の二択は従量課金のエージェントで解消する。
Copilot Chat(無料)でできる業務とできない業務
ラベルの思い込みと無料版の試し方の誤りを解消するには、自社の無料版で何ができるかを確認し、そのうえで業務ごとに仕分けます。
自社のCopilot Chatのラベルを確認する
最初に確認するのは、社員の画面に出るラベルです。Microsoftのサポートページによると、職場のアカウントでMicrosoft 365にサインインし、ホームページを一番下までスクロールしてアカウントを表示すると、名前の下にラベルが表示されます(Copilotのライセンスのラベル)。
| ラベル | 有料のアドオン | Word・Excel・PowerPoint・OneNoteのCopilot |
|---|---|---|
| Copilot Chat (Basic) | なし | 使えない |
| M365 Copilot (Basic) | なし | 標準アクセスで使える |
| M365 Copilot (Premium) | あり | 優先アクセスですべての機能を使える |
どのラベルになるかは、契約とテナントの設定で決まる。日本語のサポートページでは、(Basic) を (基本)、(Premium) を (プレミアム) と表記しています。名称の変更後の管理者向け資料には、Copilot (基本)・Copilot (プレミアム) という表示も挙がっている。
Microsoftの説明では、M365 Copilot (Basic) でも次の機能が使えます(What is Microsoft Copilot?)。
- Word 文書の下書き・書き直し・要約
- Excel データの分析と、数式・グラフの作成
- PowerPoint 指示や既存の資料からのプレゼンテーションの作成
- Outlook メールの下書きとスレッドの要約
表計算での指示の出し方は、CopilotのExcelでの使い方で扱っています。
人事と経理の業務を無料版と有料版に仕分ける
ラベルが分かれば、業務ごとの仕分けに進めます。人事と経理でよくある業務を、無料のCopilot Chatでの進め方と、有料版が必要になる場面に分けると次のようになる。
| 部門 | 業務 | 無料のCopilot Chatでの進め方 | 有料版が必要になる場面 |
|---|---|---|---|
| 人事 | 求人票の文面を整える | 募集要件を貼り付けて下書きさせる | 不要 |
| 人事 | 就業規則にもとづく問い合わせの回答案 | 規程のファイルをアップロードして回答案を作る | 規程と過去の回答メールを合わせて踏まえる場合 |
| 人事 | 社員から届いたメールの要約と返信の下書き | OutlookのCopilot Chatで受信トレイのメールを要約させる | チャットや共有フォルダの資料まで広く踏まえる場合 |
| 人事 | 研修の受講データの集計 | Excelのファイルをアップロードして分析させる | 不要(Excelの画面で使うならラベルを確認) |
| 経理 | 請求書PDFの記載内容の読み取り | PDFをアップロードし、取引先名・金額・支払期日を抜き出させる | 不要 |
| 経理 | 経費精算規程の問い合わせの回答案 | 規程のファイルをアップロードして回答案を作る | 社員が自分で質問できるようにするなら従量課金のエージェント |
| 経理 | 取引先との支払条件の経緯の確認 | 該当するメールを自分で探して貼り付ける | メール・会議・契約書を横断して探す場合 |
表のとおり、無料版で足りないのは、メール・会議・複数のフォルダにまたがる情報を集める業務に限られます。資料を1件ずつ渡せる業務なら、無料版でも下書きまでは作れる。差が出るのは、アップロードの手間と、渡し忘れた資料が回答に反映されない点です。
無料版で試した結果が期待を下回った場合、原因が契約の種類にあるのか、渡している資料にあるのかはCopilotが使えない原因で切り分けられます。
無料版で足りない業務は従量課金のエージェントで補う
理由3で挙げた予算の二択に代わる方法が、従量課金のエージェントです。エージェントとは、特定の業務に合わせて指示と参照する資料を設定したCopilotを指します。
Microsoftの説明では、指示と公開Webサイトを根拠にするエージェントは追加料金なしで使える。
一方、SharePointなどの社内データにアクセスするエージェントは従量課金で、Copilot Chatの利用者には既定でオフになっています(Microsoft 365 Copilot Chatのエージェント)。
管理者がMicrosoft 365 管理センターかPower Platform 管理センターで課金を設定すると、有料版を持たない社員も社内の資料を読むエージェントを使えるようになります。
人事の問い合わせ対応で考えます。就業規則・育児介護休業規程・過去のFAQをSharePointのサイトにまとめ、それを読むエージェントを作って社員に公開する。社員は有料版を持たなくても規程にもとづく回答を受け取れ、会社が支払うのは使われた分だけです。
費用が膨らむ心配には、費用を負担するグループを決める課金ポリシーで備えます。部門ごとに請求の責任を割り当て、予算の上限に一定の割合で近づいたらメールで通知させられる(Microsoft Copilot 従量課金制サービスの概要)。
なお、有料版を持つ社員がCopilot Chat・Teams・SharePointでエージェントを使う場合、社内データを根拠にした回答は従量課金に数えられません(Copilot Studioのライセンス)。
エージェントの作り方と、向いている業務の見分け方はMicrosoft AIエージェントで解説しています。
Copilotの追加購入は横断・共通の資料・権限の3つの質問で判断する
ここまでで、無料版・従量課金のエージェント・有料版の3つの選択肢を確認しました。どれを選ぶかは、業務ごとに次の3つの質問を順に当てて決めます。
| 順 | 質問 | はい | いいえ |
|---|---|---|---|
| 1 | その業務は、メール・会議・複数のフォルダの情報を横断して使うか | 質問3へ(有料版の候補) | 質問2へ |
| 2 | 参照する資料は、担当者全員が見る同じ規程やマニュアルか | 従量課金のエージェント | 無料版で、資料をその都度アップロードする |
| 3 | その業務で参照するフォルダの共有の権限は整理済みか | 有料版を購入する | 権限の整理を先に行う |
質問1で「いいえ」なら、無料版との差はアップロードの手間に限られる。質問2で「はい」なら、エージェントを1つ作れば担当者全員が同じ規程を参照できます。
質問3を飛ばすと、有料版を使い始めた日から、見せるつもりのなかった資料が回答に使われる可能性が生まれます。
Copilotが参照するのは、本人にアクセス権があるファイルだけです。裏を返すと、共有の設定が広すぎるフォルダに置かれた評価資料や給与データも、権限の上では参照先に入ります。これまで場所を知る人しか開かなかったファイルが、質問の内容しだいで回答の根拠になる。
Microsoftも有料版に、過剰な共有を減らすためのSharePoint Advanced Managementを含めています(What is Microsoft Copilot?)。権限の整理は、購入後に全社で行うより、購入前に対象業務のフォルダから進めるほうが手戻りが少ない。
リデザインワークのAX支援でも、有料版の購入を決める前に、対象業務で参照する資料と保管場所を書き出す工程を置いています。規程とテナントの設定を同時に決める進め方は、AIガバナンスの作り方で扱っています。
権限の整理に着手すると、どこまで決めればCopilotを使ってよいかで議論が長引くことがあります。AX推進責任者が最初に押さえる3つのガバナンスと、活用とルールを同時に整える進め方を解説したのが、資料『AI活用がガバナンスの不安で進まない企業への処方箋』です。
有料版を買うかどうかは、業務ごとに参照する資料と保管場所を書き出すと判断できます。
いまの契約と対象にしたい業務をお聞きして、無料版・従量課金のエージェント・有料版のどれで進めるかと、購入の前に整える権限まで一緒に整理します。
業務一覧をCopilot Chatと有料版に仕分けるAIへの指示文
3つの質問を業務ごとに当てる作業は、業務の一覧があればAIに下書きさせられます。次の指示文に、自部署の業務を1行ずつ貼り付けて使ってください。業務名と資料の保管場所だけを使うので、無料のCopilot Chatでも実行できます。
あなたは情報システム部門で、Copilotの追加購入を検討している担当者です。
次の【業務一覧】を、Copilotの使い方ごとに仕分けてください。
【前提】
・全社員が使えるのは、追加費用なしのCopilot Chatです
・Copilot Chatは、Webの情報と、利用者がアップロードしたファイルをもとに回答します
・有料のMicrosoft 365 Copilotは、本人がアクセスできるメール・会議・チャット・ファイルを自動で参照します
・従量課金のエージェントは、SharePointに置いた決まった資料をもとに、有料版を持たない社員にも回答します
・参照先のフォルダが全社員に公開されている業務は、権限の整理を先に行います
【業務一覧】
(業務名・担当部署・担当人数・月の件数・参照する資料と保管場所を1行ずつ貼り付け)
【出力】
1. 業務ごとに「無料版で足りる」「従量課金のエージェント」「有料版を検討」「権限の整理が先」のどれかに分け、理由を1行で添えた表
2. 「有料版を検討」の業務は、横断して参照するデータ(メール・会議・ファイルなど)を具体的に書く
3. 「従量課金のエージェント」の業務は、エージェントに読ませる資料の名前を挙げる
4. 情報が足りず仕分けられない業務は、推測で埋めず、担当者に確認する質問として別の表にまとめる
【注意】
・料金の計算はしない
・業務一覧に書かれていない資料や保管場所を補わない
社員の氏名や給与の金額など、個人が特定できる情報は貼り付けないでください。
出力の1の表で「有料版を検討」が一部の業務に限られるなら、全社員分の購入は必要ありません。出力の4で出てくる、担当者に確認する質問は、ヒアリング項目としてそのまま使えます。
Copilotの有料版が必要かは社内データを横断する業務の有無で決まる
Copilot Chatと有料版の違いは、機能の数よりも、社内のメール・会議・ファイルをCopilotが自分で探しに行くかどうかにあります。その違いが意味を持つのは、情報が複数の場所に散らばった業務だけです。
規程を1つ読めば答えられる業務は、従量課金のエージェントで足ります。資料を1件ずつ渡せる業務なら、無料版で下書きまで作れる。
まずは自部署の業務を10件書き出し、それぞれに参照する資料と保管場所を書き添えてください。有料版が必要な業務の数が分かれば、購入の要否も金額も説明できます。どの業務からAIに任せるかの優先順位は、AIに任せる業務の選び方で扱っています。







