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人事部の適正人数とは|100人に1人は通説・規模別の平均人数・AIで手続きを減らした後の決め方

人事部の残業が続き、経営会議で増員を求めた。すると社長から「従業員500人に人事が5人なら、100人に1人で足りているはずだ」と返される。他社の人数も、自社に何人必要かの根拠も、その場では示せない。

人手が足りないと感じている人事部は多い。パーソル総合研究所が2021年に従業員300人以上の企業へ行った調査「人事部大研究」では、人事部の人員が不足していると答えた企業が60.8%でした。一方、今後人員を増やす予定の企業は2割弱にとどまります。

多くの人事部は、増員以外の方法で不足を解消する必要がある。

この記事を読み終えると、自社の人事部に必要な人数を、他社の比率ではなく自社の業務量から見積もれます。給与の確認や問い合わせ対応などの定型業務を、AIや判定ルール表などの仕組みに移すと何人で足りるかも、同じ表で判断できる。

目安と調査、人数の違いを生む要因、人数の出し方の順に説明します。後半には試算表と、業務一覧から必要人数を見積もるAIへの指示文を載せました。

業務量の洗い出しから始める場合は、業務棚卸しのフォーマットの列がそのまま使えます。

人事部の適正人数の目安とされる従業員100人に1人は通説

人事部の適正人数とは、給与・勤怠・入退社の手続きを期限どおりに処理したうえで、採用・育成・制度の見直しにも時間を使える人数です。

目安としてよく紹介されるのが従業員100人に人事担当者1人の比率で、従業員300人なら3人、1,000人なら10人になる。個人のブログなどで広く使われていますが、根拠の調査を示した記事は少なく、あくまで通説です。

なお、人事部を独立して置かない会社も多い。日本の人事部の「人事白書2026」では、独立した人事部門を持つ企業は40.8%にとどまるため、この記事の人事部には人事課や管理部の人事担当も含みます。

人事1人あたりの従業員数は会社規模により47人から245人まで差がある

実際の人事部の人数は、規模によって100人に1人から大きく離れています。「人事部大研究」は、本社人事の正社員数を企業規模別に集計しています。

企業規模(従業員数) 本社人事の平均人数 人事1人あたりの従業員数
300〜500人未満 9人 47人
500〜1,000人未満 13人 59人
1,000〜2,000人未満 21人 71人
2,000〜5,000人未満 36人 98人
5,000人〜1万人未満 75人 100人
1万〜3万人未満 82人 245人
3万人以上 133人 225人

出典はパーソル総合研究所「人事部大研究」。いずれも本社人事の正社員数から出した概算値です。

100人に1人に近いのは、2,000人から1万人未満の企業です。300〜500人未満は47人に1人で、人事の人数は通説の2倍を超える。1万人以上では、1人で200人以上を受け持っています。

ただし、表は実際にいる人数の平均で、適正な人数とは別です。同じ調査では6割の企業が人員の不足を感じていました。他社の平均に合わせても、自社の不足が解消するとは限らない。

人事部の人数は外部委託・採用・拠点・雇用区分・制度改定で変わる

規模が同じでも人数が違うのは、人事部が担う業務の範囲と量が違うためで、要因は次の5つに分かれます。

要因 人数が多く必要になる会社 少ない人数で済む会社
外部委託の範囲 給与計算と社会保険の手続きを社内で行う 給与計算を外部に委託している
採用の量 新卒と中途を毎年まとめて採用する 採用が欠員の補充に限られる
拠点の数 工場・店舗・営業所など事業場が多い 本社1か所に集まっている
雇用区分の数 正社員・契約社員・パートタイマーなど区分が多い ほぼ正社員だけ
制度改定の有無 等級・評価・報酬の改定を進めている 制度を数年変えていない

読み違えやすいのは外部委託です。同じ調査で委託が最も多い業務は給与・報酬計算(34.8%)ですが、委託しても結果の確認は社内に残る。リデザインワークのAX支援で扱った例では、委託した給与計算の結果を約100項目にわたり人手でダブルチェックし、月約150時間かかっていました。

委託の有無より、社内に残る確認の時間で比べる必要があります。減らし方は給与計算・年末調整のAI活用で扱っています。

人数を最も大きく左右するのは採用で、同じ調査では人材採用担当が人事部の人数の約2割を占める。人事白書2026でも、特に時間と手間がかかる業務(三つまで選択)の1位は採用業務の63.9%でした。採用計画が増える年は、人事部の人数も見直しが必要です。

拠点の数は、法律で決まった手続きの量に表れます。時間外労働の労使協定(36協定)は事業場ごとに結んで届け出るもので(労働基準法第36条)、常時50人以上の事業場ごとに衛生管理者と産業医の選任も必要です(労働安全衛生法第12条・第13条、同法施行令第4条・第5条)。

雇用区分が増えれば、就業規則・賃金規程・社会保険の加入判定・契約更新の管理が区分ごとに分かれます。制度改定は期間の限られた業務なので、常に必要な人数とは分けて見積もります。

人事部の人員不足は給与や勤怠の手続きより企画と育成に表れる

業務量が人数を上回ったとき、後回しになるのはどの仕事か。影響が先に出るのは手続きではなく、制度の見直しや経営への提案といった企画と、育成です。

パーソル総合研究所の調査で、人事部の管理職が自部門の成果を5段階で評価すると、人員が非常に不足している人事部でも、人事オペレーションの質は3.5点と、適正な人事部の3.8点に近い。一方、人事戦略と経営戦略の紐づけは2.7点で、適正な人事部の3.3点を大きく下回りました。

給与や勤怠には支給日や届出の期限があるため、人が足りなくても先に処理されます。後回しになるのは、期限のない企画の仕事だと読み取れる。

職域別でも、不足(非常に不足・不足・やや不足の合計)と答えた企業は人事戦略・企画担当で約59%、人材開発・育成担当で約57%と、給与・勤怠・福利厚生を担う労務管理担当の約41%を上回ります。

比率で人数を足しても、増えた時間が企画と育成に使われるとは限りません。

人事部の適正人数を業務量から出す4つの手順

人数は他社の比率(ベンチマーク方式)や人件費の上限(損益方式)からも出せますが、部門ごとに出せるのは業務量を積み上げる業務分析方式に限られます。ここに、AIや仕組みに移せる時間を差し引く手順を加えます。

  1. 人事と労務の業務を棚卸しし、業務区分ごとに月間の時間を出す
  2. 定型の手続き・問い合わせ対応・確認作業のうち、AIや仕組みに移せる時間を差し引く
  3. 採用・育成・制度の見直しに新たに使う時間を足す
  4. 合計を、1人が人事業務に使える月間の時間で割る

人事と労務の業務は人数ではなく月間の時間で数える

兼務者が多い会社ほど、人数で数えると実態から離れる。人事白書2026では、人事部門のメンバーの大半が他業務と兼務している企業が28.0%、従業員1〜100人の企業では59.6%でした。総務と兼務する人は、人事業務の時間だけを数えます。

4月の新卒入社のような繁忙月は、月平均とは別に出しておく。

人事の業務でAIや仕組みに移せるのは判断基準が文書になっている業務

移せるかどうかは、判断の基準が規程やチェックリストとして文書になっているかで決まります。

  • 移しやすい業務:給与計算の結果確認・勤怠の確認・規程についての問い合わせ対応・評価の督促と集計
  • 人に残る業務:休職や退職の相談・面接の合否・評価の最終調整・制度の見直し

先に触れた月約150時間のダブルチェックは、リデザインワークのAX支援で判定ルール表を作り、月3〜5時間の規模まで圧縮しました。

人事部門の発令に関わる業務でも、判定の仕組み化により年約2,000時間の削減を見据えた体制を作っている。年約2,000時間は、1人が人事業務に使える時間を月140時間とすると約1.2人分です。

問い合わせの減らし方は人事への問い合わせを減らすで扱っています。移せる割合は試した結果から見積もり、試す前は控えめにしておく。

どの業務から着手するかも、この段階で決めます。人事AXの着手順を決める2つの軸を、業務の仕分け方まで含めて整理したのが、資料『人事AXに取り組む業務を整理するフレームワーク』です。

人事AXに取り組む業務を整理するフレームワーク
お役立ち資料|AX(AI活用)推進

人事AXに取り組む業務を整理するフレームワーク

どの業務からAIに任せるかが決まらず、思いついた順に試して終わる。判断軸がないまま、業務の一覧だけを眺めているからです。人事AXの着手順を決めきるために必要な2つの軸を、業務の仕分け方まで含めて解説します。

資料をダウンロード

なお、人事部の必要人数の見積もりは、リデザインワークのAX支援でも無料でご相談を承っています。

従業員500人の人事部で適正人数を試算する

4つの手順を、前提を置いた試算で確認する。実在する会社のデータではありません。従業員500人で人事部は5人(100人に1人)、給与計算は外部委託の会社を想定します。

1人が人事業務に使える時間は、休暇や部内の会議を除いて月140時間と仮定しました。残業が続き、企画提案と制度の見直しには月20時間しか使えていません。

業務区分 現在の月間時間 移せる割合(仮定) 移した後の月間時間
採用(応募者対応・面接調整) 180 10% 162
勤怠管理 110 30% 77
給与計算の結果確認 90 50% 45
入退社・社会保険の手続き 70 20% 56
問い合わせ対応 100 30% 70
人事評価の集計・運用 60 20% 48
研修の運営 50 10% 45
会議・資料作成 80 20% 64
企画提案・制度の見直し 20 0% 20
合計 760 約23% 587

現在の合計は月760時間で5.4人分。5人では1人あたり月約12時間の残業が出る計算です。

移せる時間を差し引くと月587時間、4.2人分まで減ります。減った173時間の6割強は、給与計算の結果確認・勤怠管理・問い合わせ対応の3つから出ています。

手順3として採用・育成・制度の見直しに月100時間を足しても、687時間で4.9人分に収まる。5人のまま残業をなくし、本来の仕事に月100時間を新たに使える計算です。

比率で決めると、結果は変わる。通説の100人に1人なら5人のまま残業は解消せず、表の500〜1,000人未満の平均(59人に1人)なら8〜9人への増員です。どちらの比率も、この会社の業務量とは関係なく決まっています。

最初の数か月は判定ルール表などを作る時間がかかるため、実際に減ったかを確認してから人数の判断に使います。

人事部で空いた時間は採用・育成・制度の見直しに移す

手順3で足した月100時間は、空いた時間の使い道を先に決めておくためのものです。決めずに業務を減らすと、空いた時間は別の依頼や手続きの増加に使われる。

リデザインワークのAX支援では、定型業務をAIで減らし、空いた人と時間を人事の本来の仕事へ再投資するところまでを一続きで設計しています。使い道は、人員不足の影響が出ていた企画と育成を中心に選びます。

  • 採用:面接官の評価基準の統一・内定者へのフォロー
  • 育成:管理職研修の設計・1on1の見直し
  • 制度:等級と評価基準の見直し・報酬水準の確認

事業部門と組んで人と組織の課題を解く役割は、HRBPの役割で扱っています。

人事部の必要人数を業務一覧から見積もるAIへの指示文

手順1から4をAIに任せる指示文です。社員の個人名は入れず、担当者はAさん・Bさんのように置き換えてください。

あなたは人事部門の要員計画を支援する担当者です。
次の【会社の前提】と【業務一覧】をもとに、人事部に必要な人数を見積もってください。

【会社の前提】
・従業員数:〇〇人(うち契約社員・パートタイマー〇〇人)
・拠点の数:〇か所
・外部に委託している業務:(例)給与計算
・人事部の人数:〇人(兼務者は、人事業務に使う時間の割合も書く)
・1人が人事業務に使える時間:月140時間(自社の値があれば置き換える)
・来年度の採用計画:新卒〇人、中途〇人

【業務一覧】
(業務名・担当・頻度・1回あたりの時間、または月間の時間を1行ずつ貼り付ける)

【手順】
1. 業務を次の区分に分け、区分ごとに月間の時間を合計する。
   採用・勤怠管理・給与計算の結果確認・入退社と社会保険の手続き・問い合わせ対応・
   人事評価の集計と運用・研修の運営・会議と資料作成・企画提案と制度の見直し
2. 区分ごとに、AIや仕組みに移せる割合を見積もる。
   判断の基準が規程やチェックリストで文書になっている業務は高く、
   個別の事情で判断が変わる業務は低くする。割合ごとに根拠を1文で書く。
3. 採用計画と会社の前提から、採用・育成・制度の見直しに新たに使うべき月間の時間を提案する。
4. 「現在」「移した後」「新たな時間を足した後」の3つについて、
   合計の時間を1人あたりの時間で割り、必要人数を小数第1位まで出す。

【出力】
・表(区分・現在の月間時間・移せる割合・根拠・移した後の月間時間)
・3つの必要人数と計算式
・見積もりが大きく変わる前提(繁忙月・採用計画の増減・兼務の扱い)
・人事部長が次に確認すべき質問を3つ

【注意】
・業務一覧にない時間を推測で足さない。足す場合は推測と明記する。
・移せる割合は、試す前の業務では控えめに見積もる。

返ってきた割合は、担当者と1行ずつ確認してください。判断の基準が文書になっていない業務に高い割合が付いていたら、先にその基準を文書にする。

人事部の適正人数は他社の比率より自社の業務量で決まる

他社の比率で分かるのは、自社の人数が極端に多いか少ないかまでです。何人必要かは、業務の範囲と量、空いた時間の使い道で決まる。

まずは人事と労務の業務を区分ごとに書き出し、月間の時間を数えてください。人事DX全体の進め方は人事DXの進め方で扱っています。

業務量から出した人数なら、増員を求めるときも、人数を据え置いて業務を移すときも、同じ表で根拠を示せます。

リデザインワーク 編集部

リデザインワークは、仕組みを変え、行動を変え、企業成長と多様な個人の活躍が同時実現できる企業づくりを、HRコンサルタントとAIプロダクトで支援する会社です。経営戦略と一貫した人事戦略を描くだけでなく、それが現場に定着し行動が変わるまで伴走する中で得た知見やノウハウを発信しています。

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