日本電信電話株式会社 総務部門
(右)人材戦略担当 担当課長 田邉 直記 さん
(プロジェクト当時はダイバーシティ推進室に在籍)
(左)総務担当 担当課長 山田 崇 さん
(写真:田邉さん)
田邉さん:
弊社は1985年に「日本電信電話公社」から株式会社へと民営化され、2025年で40年の節目を迎えます。創業当初は〝電話の会社〟として音声サービスは売上高の80%以上を占めていましたが、2023年度は携帯電話を含めて13%程度まで減少しました。企業としての事業構造が大きく転換しており、今後もさらなる変化が必要です。 一方で、インフラ事業としての「電話」というサービスは継続して提供し続ける責任があります。そのため、既存の事業を着実に維持しながら、新たな事業の創出に取り組むべき時期だと捉えています。
今回の働き方やオフィスの設計・構築に関するプロジェクトは、2023年5月に発表した「中期経営戦略」の一環として実施しています。
この戦略の最上位の柱である「新たな価値の創造とグローバルサステナブル社会を支えるNTTへ」を実現するため、第2の柱「お客様体験(CX)の高度化」と第3の柱「従業員体験(EX)の高度化」で支える構想です。特に、私たち総務部門は、第3の柱(EX)の「オープンで革新的な企業文化へ」の実現に向けて積極的に取り組んでいます。
企業文化を育んでいくためには、情報をオープンにすること、多様な人々とコラボレーションすること、そして失敗を恐れず挑戦し続けることが重要です。
しかし、これらの取り組みはまだ十分とは言えない状況です。そのため、改めて全社員で強く意識し、取り組んでいくことを決意しました。
また、NTTグループの持株会社として、社員の働き方や職場環境を通じて、どのように従業員体験(EX)を向上させることができるのかを模索することが、今回のプロジェクトの背景にあります。
田邉さん:
プロジェクト開始当時、私はダイバーシティ推進室に所属し、「多様な社員が働き、活躍できる環境を作ること」をメインミッションとしていました。当時はコロナ禍により、社員の働き方が出社からリモートワークへとシフトした時期でした。
自宅以外にもサテライトオフィスやシェアオフィスなどの選択肢が増えたなかで「センターオフィスは、どのような役割を果たし、どのような場であるべきか」という疑問が生じました。同様の意見が幹部からも出され、オフィスのあり方を見直そうという動きが始まりました。その中で、私は「多様な働き方」という観点からアプローチを行い、実際のオフィス設計や構築は総務担当と連携して進めました。
(写真:山田さん)
山田さん:
私は総務部門で、総務業務全般とオフィス・不動産業務を担当しています。コロナ禍以降、自宅やサードプレイスを含むハイブリッドワークが可能となった中で、センターオフィスの役割や運営方法を考えることが、我々のミッションと考えています。本プロジェクトでは、社員の求める多様な働き方についてダイバーシティ推進室と連携し検討し、その後、コンセプト策定、オフィスに求める4つのスペースを定義し、具体的なオフィス設計、リニューアルと進めていきました。
田邉さん:
当時、出社とリモートの頻度について手探りで議論を進めていました。従業員のエンゲージメント調査の結果、「この日にこの目的のために皆で出社しよう」と目的を明確にして出社日を揃えると、生産性やリモートワークの満足度、社員が自律的な働き方を選べている感覚がすべて高いことが分かりました。つまり、センターオフィスは、目的に応じて集まり、ディスカッションを通じて思考を整理する場であるべきだと言えます。また、ハイブリッドワークによってリモートと対面の良さを両立させる方向性が重要だと考えるようになりました。その実現に向けて、「オフィスに必要な要素は何か」を議論し続けました。
山田さん:
持株会社として特有の課題も抱えていました。ホールディングス機能を担う以上、「我々のオフィスはどうあるべきか」という議論や検討内容がグループ会社に影響があります。
また、持株会社は各グループ会社の社員と連携しながら役割を果たしているため、「オフィスはどうあるべきか」という問いは「グループ会社の社員と効果的に交わるために、オフィスはどのような場であるべきか」という意味も含んでいます。
さらに、グループを横断する会議などで方針や方向性を共有することも持株会社の重要なミッションです。こうした背景から、オフィスのあり方をしっかりと検討し、課題解決に向けた取り組みを進めることが求められていました。
山田さん:
今回のプロジェクトでは、Redesign Workさんにファシリテートいただいたワークショップを、オフィスのコンセプトや「どのようなスペースで働きたいか」を社員自身で導き出しました。〝誰かが決めた〟のではなく〝社員がワークショップを通じて出した答え〟として「オフィスに求めるスペース」を定義できたことは大きな成果でした。
その後、社員の意見を我々なりに解釈し、結果的に
①チームメンバーとの協業(Project&Team)
②部門の垣根を超えた交流(Meet-Up)
③集中作業(Concentration)
④NTTグループ各社・社外とのコラボレーション (Collaboration)
という言葉を基にオフィス設計を進め、現在では最終段階にまで具現化が進んでいます。これらのスペースを実現できたことに、非常に満足しています。
最も大きな変化の1つとして、従来の固定席での働き方から、すべてフリーアドレスに移行した点が上げられます。当初は問題や不満が出るのではと懸念していましたが、意外にも自然に順応していきました。「 Meet-Up」でのカフェサーバ―やビールサーバーは大きな反響を呼び、現在では毎日イベントの予約が入るほどの活況を見せています。社長、副社長など役員もイベントに参加し、社員とのコミュニケーションが活性化しています。
田邉さん:
社員からの反応は非常に好意的で、「すごくいい!」というポジティブなコメントが多く寄せられています。例えば、1人1日1杯のコーヒーを提供する取り組みも大変好評でした。
また、2024年のパリオリンピックでは、社員のご家族が選手として出場したことをきっかけに、パブリックビューイング形式で応援イベントを実施しました。部門を超えた盛り上がりを見せ、ビールサーバーも大活躍でした。
今日も各社の人事担当が集まり、意見交換を行う予定です。スペースのコンセプトや目的と、それに基づく設計と実際の運用がしっかりと接続され、オフィスの価値が高まっていることを実感しています。
山田さん:
「 Meet-Up」は「部門間の交流の場にしてほしい」と周知しています。1つの部門のみで使用するのではなく、異なる部門間での交流の場として、引き続き活用してほしいです。
田邉さん:
今回のプロジェクトを通じて、社員同士のコミュニケーション頻度が確実に上がっていると感じています。これからも、交流の場を活用した施策を充実させ、持株会社内にとどまらず、持株会社とグループ会社との連携や横のつながりを強化する方法を模索していきたいです。
また、来客対応スペースや会議スペースである14階フロアについても、社外の方とのコラボレーションの場として見直しを行い、2025年2月に完成しました。今後は社外・グループ内のコミュニケーションをさらに促進すると同時に、社外の方とのコミュニケーションやコラボレーションを図るために何ができるか、引き続き検討していきたいと考えています。
田邉さん:
今回のプロジェクトがスタートしたきっかけは、幹部の何気ない「社員の働き方は、どうあるべきなのだろう」という一言でした。この言葉を受け、自分たちでも調査を進めるとともに、幹部と議論を始めました。「自分たちだけでなく、社員を巻き込んで進めましょう」と話してはいたものの、具体的に社員を参画させるためにどう動くべきかに悩んでいました。
最終的に、プロジェクトを円滑に進めるためには社内だけで考えるのではなく、外部の力を活用し、インプットを得ながら思考を整理しつつ議論を深める必要があるという結論に至りました。
その頃、ある企業の方 と弊社の執行役員・総務部門長(当時)でお話をする機会があり、「オフィスの見直しをした」「こういうプロジェクトだった」という熱い思いを伺うことができました。そして、「私たちはRedesign Workさんにお願いしましたよ」とご紹介いただけたことがきっかけで、提案のお願いをしました。
Redesign Workさんを含む数社にお声がけし、プロジェクトの進め方やワークショップの内容についてディスカッションを重ねました。その中で、林さん(Redesign Work代表:林 宏昌)とお話しした際、私たちがめざしていることや社員が活躍できる環境づくりのイメージが具体的に湧いてきやすかったこと、オフィスを通じて、何を生み出したいのかという視点を絶えず意識してご提案いただけたことが、Redesign Workさんにお願いする決め手になりました。
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